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CREW's VOICE

炭鉱のまちを歩く

内郷宮町には、常磐炭鉱の選炭場が残っています。この選炭場は、商品価値の高い石炭を確保しようと、国内初の「水中貯炭施設」として建造されたもの。石炭の塊は、地表面に放置しておくとすぐに剥がれ落ちてしまうため、商品としての価値が下がってしまう。それを防ぐために機械化された選炭→水中保管へと連結して、商品価値の確保を図ろうとしたのだそうです。鉄道が連結され、常磐線綴駅(現在の内郷駅)に石炭貨車を集結させ、関東へと送られたといいます。

映画『フラガール』上演の頃は、かつての炭鉱町の暮らしぶりを知るための観光名所として、これらの炭鉱遺構を舞台にバスツアーなども行われたそうですが、今では、ただひっそりと住宅地の中に佇み、往時の面影を今に伝えています。目の前に立つと、見たこともない当時の風景が目の前に浮かんでくるようです。

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現代の日本の「地方」と言えば、どこにでもあるようなチェーン店が並ぶ「ロードサイド」をもって語られることが多いことでしょう。しかし、この内郷にあるのは、それ以前の、昭和の高度経済成長を支えた地方の姿。当時国内初の「水中貯炭施設」があったように、ここには日本でも最高峰の技術が集まっていたのだ。その名残は、全国でも珍しい「回転櫓」の盆踊り大会にも残る。そして、時代は変わり炭鉱はなくなってしまったが、首都圏へのエネルギー供給地としての役割は今も変わっていない。

そんな近代日本の姿すら思い起こさせる内郷の町。これは内郷の宝ものになる風景だと思います。時代は変わり、町は姿を変えていくものですが、一度壊された景色は元に戻すことができません。こうした風景も、地域の財産として語り継ぎ、残していって欲しいと思います。

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旅の猛者にぜひ味わって欲しいのが、野間食堂のラーメンやカレーライス。まさに炭鉱時代から変わらぬ味を堪能できます。白水阿弥陀堂奥の入山地区には、まだ現役の長屋の姿も見つけました。今もなお残るいわきの産業遺構。古き「磐城」の風土を垣間みる内郷の旅も、興味深いものになるに違いありません。

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NPO法人ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉サービス店舗。 社会と現在の自分を結ぶための広場を創造することをコンセプトに、一人でも多くの生きにくさを抱える方々の心に栄養を、その先にある活力ある人生に貢献している。