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企業目線からの支援機関に期待すること

全国障害者就労支援ローカルネットワーク研修会in福島 特別収録

ここでは、8月初旬、ソーシャルスクエア内郷で開かれた「全国障害者就労支援ローカルネットワーク研修会in福島」において、全国で就労支援に関わる方々からお話頂いた内容を抜粋してお送り致します。それぞれの地域で就労支援に関わる人たちの生の声をご覧下さい。

 

企業目線からの支援機関に期待すること

石山 伯夫さん

いわき市障がい者職親会 会長 / 株式会社マルトホールディングス 管理本部副本部長

 

いわき市障がい者職親会の会長を務めている石山です。職親会としての立場もありますが、いわき市内で36店舗のスーパーを抱える会社の管理部門でも仕事をしております。今日は、特に企業目線から、支援機関に期待することをお話しできればと思っています。

私たちの業界に限らず、今はどこの会社も人材不足です。私たちも、36の店舗でおおよそ400人の人材が足りないと言われています。どうしようという時、戦力になってくれるのが、高齢者、外国人、そして障がい者です。

例えば高齢者。実はマルトには86歳の方がいらっしゃいます。84歳のときに応募してきて、元気に働いてもらえるのなら全然構わないよと採用して、それはもう今も元気に働いてもらっています。高齢者は朝早いんですね。マルトの駐車場を朝5時くらいから散歩されている。ならばということで、朝の5時〜7時まで働いてもらうシフトを作りました。そうしたらどんどん募集が来て、60歳を超えた方にもたくさん働いてもらっています。

次に外国人。いわき市は東日本国際大学に東南アジアの留学生がたくさん来ています。彼らは留学生なので、1週間に28時間以上労働をしてはいけないという決まりがあるんですが、だったら28時間以内で働いてもらえばいい。彼らもやはり故郷にお金を送りたいと考えてます。ならばということで、車のない留学生のために、早朝のシフトで働けるようマイクロバスを用意しました。

留学生の他には技能研修生ですね。以前は建設業、製造業が多かったんですが、今では様々な分野で技能研修生が入ってきています。11月にはベトナムから24名の方が技能研修生としてやってきてくれます。わたしもベトナムに行って直接採用してきました。これから日本語を勉強したり、しばらく研修が続いて、それらの費用も私たちの負担になるわけですが、そのような負担をしたとしても、やはり人材が欲しいわけですね。

—障がい者を雇用することのメリット

そして障がい者。まずは障害者雇用促進法という、いわば企業の義務とも言うべき法律もありますが、これは実際にはほとんど守られていません。納付金を納めていれば義務は果たしているんだとか威張っている社長が大勢います。それは大きな間違いなんですね。納付金というのは罰金ですから。雇用していないという事実には変わりません。そんなことを言っているから未達成企業も減らないんですね。いわき市には中小企業が230社あります。だから1社で1人で良いんだと言ってるんですが、なかなか踏み切れない。だから、決断に踏み切れない社長を支えよう、背中を押してあげようというのが職親会の役割になります。

わたしがいつも言っているのは、障がい者を雇用することは、色々な意味で会社にメリットがあるということです。まずは人件費の大幅削減に繋がるということ。障がい者を雇用しないで支払う納付金は月5万円ほどだそうです。5万円では人は雇えない、だから納付金を払ったほうが良いというわけですが、バカなことを言っちゃいけません。そういう問題をしっかり考えない会社はダメになります。いろいろな助成金制度を活用すれば充分に雇用できるんです。

例えば、賃金ベースで考えれば、パートの社員の時給は750円です。1日7時間、月に22日勤務すると、その方に払う給料は12万円くらいになります。年間だとだいたい140万円ですね。これに対して、障がい者を雇わないで支払う納付金は5万円だとすると年間60万円です。何もしないで60万円捨てているのと同じです。だったら、その60万円に、さらに80万を足して140万にして、社員を1人雇ったほうが良いんです。80万円、つまり毎月6万円くらい出せば1人雇えるということなんです。そのように考えないと、障がい者の雇用率は高まりません。

じゃあ障がいを持った人が、健常者のように働けるのか。もちろん働けます。むしろ今の大学生よりしっかり働いてくれますよ。最近、マルトの幹部が全店を回って、従業員1人ひとりを見て回ったんですが、1人だけ、彼はとても優秀な従業員だと評価した人間がいました。彼は知的障害を持っている従業員です。彼に「仕事とは何か」を訪ねると「コミュニケーションだ」と言ったんですね。経営会議や店長会議でも同じ質問をしましたが、みんな「お金を稼ぐためだ」とか「幸せになるためだ」とかいう回答ばかり。彼だけがコミュニケーションの重要性を理解していた。これは大したものです。

もちろん、彼にも障がいがありますし、他の従業員にも障がいを抱えた者はいます。しかし、そういう障がいに触れることで、ほかの従業員も様々なことを理解していくんですね。私たちの店には一日に何万人ものお客が来ます。当然障がいを持った人たちも来ます。お店で騒いでしまう方や、暴言を吐いてしまう人もいる。でも、障がい者を雇用することで、何かトラブルになったときにどう対応すれば良いかを、社員たちが日頃の仕事の中で理解していけるんです。

—多様な雇用が企業の力をアップさせる

以前、知的障害をもった子どもが「てんかん」を起こしてしまって、店の中で倒れてしまったことがありました。みんな初めての経験だから救急車を呼んだりして大騒ぎになってしまった。だけれど今は大騒ぎになることはありません。従業員の中にも、やはり「てんかん」を起こしてしまう者がいます。倒れても適切な処置のしかたを従業員が共有し、落ち着いて行動ができる。これは店としても大きな強みです。障がい者を雇用することは、従業員の教育にも大きなプラスになるということです。

さらには、障害者のまわりにはサポートしている団体がたくさんあります。例えば、障がいを持った従業員がトラブルを起こしてしまったとする。店長も処理できない、そんなときには「なかぽつ」さんに電話する。担当者さん現場に行って下さいと。それで解決する。そういうネットワークがあるということも、大きな力になります。ですから、中小企業の経営者が思うほど大変ではありません。これだけの方が取り巻いてサポートしているわけですから。

マルトが所属するスーパーマーケットのグループに「CGC」がありますが、グループで見ると、まだまだ障がい者の雇用が増えていません。ですから、これからはそういう業界団体も巻き込んで、障がい者雇用のメリットを伝えていきたいですね。人手がいない、募集に集まらないと皆さん言いますが、それは間違いです。スーパーでも仕事ができる人がたくさんいるんです。企業に大きな利益を生み出してくれる人を見逃している。それは障がい者にとっても、企業にとっても、非常に勿体ないことです。そんなことを訴えながら、企業と障がい者の橋渡しを続けていきたいと思っています。

(終)

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NPO法人ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉サービス店舗。 社会と現在の自分を結ぶための広場を創造することをコンセプトに、一人でも多くの生きにくさを抱える方々の心に栄養を、その先にある活力ある人生に貢献している。