OLYMPUS DIGITAL CAMERA
CREW's VOICE

ソーシャルデザインワークスNPO化! 三理事鼎談

 

株式会社の創立から3年。障がいのある人たちの就労支援を行なってきたソーシャルデザインワークスが、なぜ今、NPOとしての再出発なのか。理事として参画頂く、アクティビストの宮本英実さんを迎え、代表理事の北山、そして副代表の佐藤とともに、これからのビジョンを語りました。当法人のフリーペーパー「gochamaze times」に掲載されたものを、こちらにも転載します。

聞き手:小松理虔(ヘキレキ舎)

 

北山剛×佐藤有佳里×宮本英実

ソーシャルデザインワークスNPO化! 三理事鼎談

―今回、ソーシャルデザインワークスがNPO法人になりました。業務が大きく変わるわけではない、ということは伺いましたが、ではなぜ、このタイミングで「NPO」になったんでしょうか。

北山 会社で活躍している社員が自分の仕事に誇りを持って、伸び伸びと仕事ができる環境を整えてあげたいというのが一番でした。これまで以上に地域と共に動いていこうという時、株式会社でもやれることは多くあるのですが、今の日本は、株式会社よりもNPO法人に対する助成制度が充実していますし、非営利ということが信頼を生むことがあります。つまりNPOの方が、断然色々なことができて、しかも社会からしっかり評価して頂けるのではないか、ということなんです。

―地域に根ざした活動をさらに進化させるためのNPO化ということですか?

北山 そうです。障害福祉を、障害福祉の人間だけでなく、地域全体で取り組んでいくということを僕たちは目指してきたわけですが、今後も地域との繋がりを強めていくのならば、法人の形態はNPOの方がいいと判断したということです。創業時を振り返れば、まずは始めることが重要だったので、1人でも始められる株式会社でスタートしましたが、仲間が集まってきて、もっともっと地域を目指すのなら、適しているのはNPOだったと。必然的にこうなったという気がしますね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

―NPOの副代表になる佐藤さんは、ソーシャルスクエアいわき店ではマネージャー、つまり現場で障害福祉に関わってきました。スクエアを利用するメンバーの皆さんの姿を見て、「地域への広がり」を実感することはありますか?

佐藤 そうですね。まず、イベントへの参加者が絶対的に増えていますし、「ごちゃまぜ」というキーワードを色々な人たちが使ってくれるようになりました。本来の事業は障害福祉の事業ですが、「何やってる会社だっけ?」なんて聞かれることがよくあります。つまり会社の名前や「ごちゃまぜ」という概念はちゃんと伝わってきてるんだなと思います。コラボ先も増えました。スクエアの利用者も、今まではイベントに参加する立場だったのに、今ではおもてなしをする側に回ってくれています。自分たちが主体的に「お客様をもてなしたい」と動いてくれる。これってすごく大きな変化だと思うんです。

―それは面白いですね。これまでが支援に回るだけだった人たちが支援する側に回っていく、そのような逆転の必要性は、盛んに論じられてきたポイントですね。

佐藤 はい。支援する側とされる側が逆転するということは、まさに「ごちゃまぜ」です。それに、おもてなしといっても業務としてやらされるのではなく、色々な人たちと関わることが大事なんだと理解した上で、主体的に参加してくれているのが素晴らしいと思います。学ぶ人と教える人、という従属的な関係ではなく、何か1つの目的に一緒に取り組んでいくための仲間というか、そういう信頼関係が築けるようになってきました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

―今回のNPO化では、参画の多様化も大きなテーマです。理事の1人として、外部、しかもニューヨークから宮本英実さんが関わることになりました。宮本さんにはどんな期待がありますか?

北山 純粋に、僕たちのやっていきたいビジョンを実現する速度をさらに加速させるための原動力になってくれると、初めて会った時に直感していたんです。ただ、株式会社として、宮本さんに業務委託するような形で関わってもらうのでは意味がないと思っていました。それを考えると、NPOの理事の方が断然関わりやすい。直接的に法人の運営に関わってもらうことで、世界で最もごちゃまぜな都市であるニューヨークの、真のごちゃまぜ精神のようなものを注入してもらえるのではないかと思っています。

宮本 私も以前から北山さんと何かがしたいなって思っていたんです。もし、北山さんが農業をやってたら一緒に農業やってたんじゃないかなってくらい。なぜそう感じたかというと、北山さんがこれからやろうとしていることと、私がこれからやっていきたいことが共通していたからです。北山さんは障害福祉から社会を変えようとしているけれど、私もずっと、エンタテイメントのパワーを通じて、世の中に何か刺激を与えたいと思ってきました。私は障害福祉の分野は全くの素人ですが、ごちゃまぜイベントの企画など、地域と関わる事業の方で、色々なお手伝いができると思っています。

北山 宮本さんには、本場のごちゃまぜにめっちゃ期待してるんです。

宮本 ニューヨークでは「違う」ということが社会の大前提ですから。見た目にも、そしてそれぞれのルーツもバラバラで、違いを認め合うということが基本です。でも、そこで思うのは、ニューヨークでは「ごちゃまぜ」なんて言葉を使わなくてもいい状態になっているということ。だから、私たちだって「ごちゃまぜ」なんて言葉を使わなくてもいいようになるのが理想です。今は「ごちゃまぜ」ということを言わないといけないけど。

佐藤 「障がい」という言葉も同じですよね。「障がいのない社会を作ろう」とか良く言われますけど、本来は「障がい」という言葉が必要ない社会を目指さなければならないわけですよね。でもそれを使わないと、どこに問題があるのか理解することもできない。「ごちゃまぜ」も同じで、みんなが違っていて、違いを認め合おうなんてことを、本当は言わない方がいいんです。

宮本 そうですね。そして「みんな違う」という価値観をみんなが持てたら、色々なところで寛容になれると思います。そこで大事なのは、「みんな違う」ということが、決してバラバラだということではなくて、みんな違いを認め合うなかで「みんな平等」になっていくってことですよね。多様性を理解した上で、連帯が生まれてくる。均一的に等しくしていくんじゃなく、多様性の上の連帯。ここが大事だと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

―もう1人の理事、佐藤さんには、どんな役割を期待していますか?

北山 佐藤さんはビジョンを浸透させていくための、まさに現場のかじ取り役です。ずっと社員として彼女を見てきましたが、社員というより同志というか、確固たる自分の考えを持っていて、自分のビジョンに会社のビジョンをうまく近づけながら自分の言葉で語れる人なんですね。つまり、そこに個性があるということです。借り物の言葉でみんなが同じことを語るんじゃなく、バックボーンをしっかりと持っている。そういう人が地域に増えていけば、「障害福祉」なんて概念自体、要らなくなるかもしれない。だから佐藤さんには、地域の中でごちゃまぜを体現する1人目として、どんどん社会に発信していって欲しいと思っています。

佐藤 今は障害福祉をやっていますが、社会に対する問題意識って、年齢やフェイズによって色々変わるものですよね。私の場合は「もっと色々な人たちが生きやすい社会にしたい」という思いがまずあるんですが、人それぞれ異なる問題意識を持ち寄って一緒に考えられるような余白が、ソーシャルデザインワークスにはあると思っています。それを地域全体で取り組むという時、外に対する働きかけや発信、話したり伝えたりという対話の場を作ることは重要です。その辺りが、私に期待されているところだと思いますし、私がやりたいことでもあるんですよね。

北山 様々なバックボーンを持つ人が集まれば、小さくてもそこに社会が生まれて、それは地域と接続されていきます。もう1つの会社だけでできることって限られていて、僕たちの仕事はどんどん「地域づくり」に深く関わるようになっていくわけです。そんなとき、社員になるか株主になるか、ボランティアになるかくらいしか選択肢のない株式会社よりも、色々な参画の仕組みのあるNPOの方が、より地域に開かれた法人になれます。だからNPOになる必要があった、ということなんです。

―なるほどよくわかります。NPO化は、地域と共に生きるという決意表明であると。

佐藤 そうですね。障がいを持つ人たちにとって暮らしやすい社会は、みんなが暮らしやすい社会になるはずです。「ユニバーサルデザイン」もそうですよね。例えば電光掲示板のアナウンスは聴こえない人にとって大事なものですが、大音量で音楽を聞きたい人にとっても便利ですよね。だから社会的少数派の声を聞いていくことが、みんなのメリットを生み出していく。その意味では、障害福祉というのは、障がいを持つ人に対する慈善事業ではなく、むしろ、私たち自身にとって暮らしやすい社会にするための1つのアプローチでもあるんだと思います。

北山 その意味では、地域の人たちの夢や目標のお手伝いをしたり、不安や心配に寄り添うこともまた、みんなが暮らしやすい地域にするということに繋がります。これからは、地域で何かを始めたい、こんな課題を解決したいという目標を持つ人たちを応援して、コラボしていきたいんです。ソーシャルデザインワークスを利用して、皆さんが地域に関わり、夢を実現できる。そのためのプラットフォームでありたいですね。

宮本 そこに暮らす人たちが、夢を実現でき、暮らしやすい地域を作る・・・。これってつまり「ソーシャルデザイン」ってことですよね。みんなが暮らしやすい地域社会をデザインしていく会社。NPOになることで、当初のビジョンがより明確になって、分かりやすくなったわけですね。

北山 もうソーシャルデザインワークスは「みんなの法人」ってことでいいとすら思っています。どんどん僕たちを利用して、地域を面白く、そして楽しくしていく。その先に、課題解決や、生きにくさの改善や、多様性を認め合える社会があるんだと思います。就労支援と、地域づくりを両輪に、これからも、どんどん「ごちゃまぜ」を発信していきたいですね。

 

いかがでしたでしょうか。当法人がなぜNPOになったのか、少しご理解頂けたのではないでしょうか。今後もより「地域に根ざした」福祉のあり方を模索しながら、ごちゃまぜな地域づくりに邁進して参ります。今後も応援よろしくお願い致します。

(代表理事:北山剛)

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

代表|北山剛
代表|北山剛
NPO法人ソーシャルデザインワークス代表理事。1979年福島県いわき市生まれ。東北大学大学院情報科学研究科修了。元株式会社LITALICO創業メンバー。「諦めのない社会を創る」というビジョンを掲げ、障害のある方や生きにくさを抱える方々に向けた自立訓練・就労支援サービス事業を軸に多様なごちゃまぜの世界観を地域の方々と共創し、全国の地方都市展開を目指している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です