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CREW's VOICE

初の試みー東京支部での実習受け入れー

2017年8月〜9月にかけ、他就労移行支援事業所(リヴァトレ)に通所されているAさんの実習受け入れを、東京支部で行いました。これは、当法人にとって初の試み。それは、当法人が提供する福祉サービスSOCIALAQUARE®いわき店、西宮店ともに、通所されている方の実習を企業さまに依頼する立場。それを今回は、受け入れる側という、いつもとは逆の立場を経験しました。東京支部の松岡のインタビューも交えつつ、実習を終えられたAさんに話を伺いました。

〜Aさんから

疾病と回復の経緯からお話しします。私の場合は、家庭の事情や長時間で時間に不規則 な仕事の中、次第に不安症状やうつ症状が出てくるようになり「うつ病」の発症となりま した。精神症状はどんどん悪化してきて身体的にも歩く際に脚に力も入らないようになっ て、思考も回らなくなり精神的にも辛くなってきたので会社を辞めました。

しばらく療養に時間がかかった後に再就職を闇雲に探っていたのですが、うつ症状はな おってはおらず、ハローワークで就労支援施設を案内されました。遠方だったのであらた めて自分で検索をしたところ、現在にいたるまで通わせていただいている就労支援施設(リヴァトレ)に巡り会いました。認知行動療法・グループワーク・コミュニケーション方法に関するプロ グラムなどを受けながら、自己肯定感を取り戻しつつも徐々に「自分の気持ち」や「心の 課題」に気づくようになり、施設内外でのいろんな行動・活動を試みながら現在の就職活 動の時期に入って行きました。

ちょっとした行動の積み上げが前向きな気持ちを育てた

以前は現施設に通いながらも自分のことを減点評価していて「どのようにしてその減点 を挽回しなくてはいけないのか」・「以前と同じような仕事は今さら出来ない」・「それなら ば未経験で可能な仕事をどうやって再スタートしたらいいのか」、そんなことにずっとイメ ージが持てないままでいました。しかし通っている施設内で自分とは違う症状や違う考え 方をもつ多様な人たちと接することができたおかげと、施設スタッフさんたちとの会話や 「生き方を見つめてみる宿泊プログラム」への参加から「ままならない自分」といかに付 き合っていくかのヒントを得られてきたのです。

そういった刺激が自分に「ちょっとでもいいから前へステップを踏む」「自分の課題や本 当の気持ちに逃げずに向き合う」「まずは体験してみてから考える」というように、新たな 意味での「前向きな気持ち」を育ててくれたのだと思います。そしてさらに施設で数カ月 に一度行われる「ビジネスコンペ」(※あるテーマについて、1ヶ月程の期間で提案をまとめるプログラム。リヴァトレの代表取締役が審査をする。)という特別プラグラムに参加し、『気分障害の方 のご家族への施策』を数人のチームで立案するという機会にも恵まれました。そのプログ ラムは他のリヴァトレセンター利用者同士がチームを組むことで対人ストレス度も高いと聞いていたので、参加を決意した自分にも自信を持てたのですが、実際に施策をチームで立案していく中で、 以前から考えていた「自分の気持ちを感じ」・「自分を大切にする」という考えを深めたり、 この類の疾病や自信回復について探るうちに思考も活性化してきてやる気も起きてきまし た。

そして過去の職業で「経験してきたスキル」に「疾病の経験とブランク中に体験した学 び」を掛け合わせたら、今までとは少し違った形で何か・誰かの役立てるのではないかと 考えるようになってきたのです。

「疾病を発症していない自分に戻ろうとする生き方」ではなく「疾病の辛さを経験しそ の分多くを学んだ自分を認められる生き方」をしないと自分で自分を否定しつづけること になるので辛くて楽しくない生き方になる。でも自分のような人がいてもいい、施設内の 他の仲間たちのような人がいてもいいという社会の方が自分は生きていて伸び伸びできる し楽しいだろうと。

そして WEB サイトでいろいろな企業や団体を調べているうちに、ソーシャルデザインワ ークスさんに行きつきビジョンに共感して、インターン受け入れをお願いすることになっ たのです。具体的には「障がいの有無を意識しない社会」「ごちゃまぜの世界観」ということに共感 したのですが、実際にオフィスを訪れさせてもらうまでは「福島県や兵庫県という離れた 地域の福祉事業をどうやって運営しているのだろう?」というところに興味と共に疑問が あり、遠隔地同士の連携や業務はまったくイメージできませんでした。

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自分に与えられたテーマは自分自身の課題

インターンに就かせていただくと、メールやテレビ通話を駆使して遠隔地でも意思疎通を とり、いわき店や西宮店から遠く離れた東京支部からも、支援や社会をデザインする意識 を非常に高く持って取り組みに従事されていることに驚きも感じました。そして「こうや って遠隔地でも対人支援事業の広報活動や地域社会への取り組みってできるんだ」と、は っとさせられ希望や可能性が何か自分にも広がるんじゃないかというような想いも抱きま した。

やる気になれば物理的な障壁も飛び越えられるわけだし、アイデアや考えは「条件と決 めてかかってしまったものに限定されがち」ですが、そうではなく「拡張していくこと」 によって物事を実現できることにあらためて気付かされたのです。

東京支部においての私がやらせていただくインターン業務についてもイメージしていた ことと全く違いました。良い意味で予想が外れました。私の方は「広報・マーケティング業務担当の方が抱える事務作業などを分業していただ いたり、庶務的な補佐・PC データの入力作業などをする」というイメージを持っていて、 そうだとしても支援団体の事業・業務を何がしか知ることもできるだろうし、生きやすい 社会を作ろうとしている人たちと同じ場に身を置かせていただくことは勉強と経験になる と考えていました。

ところが実際にご担当の松岡さんから投げかけていただいた作業は、ソーシャルデザイ ンワークスさんの法人ビジョンや「ごちゃまぜイベント」に関する説明をいただいたりプ ログラムについての意見交換をさせていただいたり、いわき店・西宮店の各拠点のクルー さんたちとの交信・交流をさせてもらったり、疾病があるというところでメンバーさんと 同じ立場である私の「施設利用者としての目線」も踏まえた企画提案をさせていただくと いう仕事を与えてくださったりということだったのです。

意欲が高まり喜びに通じるような意義の大きい関わり方を提示していただけたのは驚きでした。たまたま、いわき店の佐藤さんとも東京でお会いしてお話しできる機会もあり、 松岡さんを始めソーシャルデザインワークスさんで働いている皆さんが気さくで活き活きとお仕事をされているのだろうなということを感じることもできました。

自分の人生の主(あるじ)は自分でしかない

今回のインターンでの貴重な経験は先の通り東京支部の松岡さんに非常にクリエイティ ブな時間と作業をコーディネートしていただけたことでした。この機会があったからこそ、より仕事・疾病対処・自信の回復に関わる考えを深められたことは間違いないです。

それはコーディネートしていただいた作業内容(企画提案)が自分自身を振り返り考え ることに、まさに適していた「テーマ」だったからです。具体的内容は割愛しますが、生 きる原動力、生きる力、そして『自分の人生の主(あるじ)は自分でしかない』というこ とをあらためて考え直す非常に濃密な数日となりました。自分の気持ちに耳を傾けて、想い をもって自分の選択した行動をとれば「自分は自分のままでいい」と思えるようになるの ではないかという希望をさらにもつことが出来ました。

今後の人生においても強く心に残るテーマで、きっとずっと考えて続けていくのだろうと思います。

そんな今回のインターンですが、いいことばかりでもありませんでした(笑)。私がちょうどインターン期間中に心身の調子を崩したため、根拠はあまりなくても松岡さんにご迷 惑をおかけしているように感じるという経験や、同じことを人にお願いするにもその負荷 は、調子のいい時よりも高くなっていることに気づかせていただけました。「自分の気持ち の安定度」「周りの人たちに対する見方・感じ方」はその時の自分の置かれた状況や体調と いうものに大きく左右されるということを、インターンとはいえ通勤を想定した外部機関 であらためて経験できたことも貴重な体験だったと思います。

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失敗ではなくすべてが経験に

人というものは、体調が安定していなかったり、心が不安定な時期に無理をすることなく 休んでいてもいいんだ、と思えるようになりましたが、ちょっとした新しい学びや体験を 「失敗してもいいんだ」という心持ちでまずは経験してみることが、結果的には緩やかで 自然な自信の回復につながるし生きる意欲も湧いてくると思います。そうして湧いてきた 意欲から行動をしているときは、不思議と先のことを考えるあまりに根拠もまだないこと を過剰に不安に思う症状が楽になっていったり出なくなったりする。私のソーシャルデザ インワークスさんでのインターンの経験はそうしたことをあらためて振り返り考えを深め る本当に貴重な体験となりました。

最後に忙しい時間の中で私のインターンでの作業ゴールである「提案内容の発表」を聞 いてくださったり補助してくださったいわき店・西宮店のクルーの皆さんと、同じく常に 忙しくされている中で私に作業をコーディネートしてくださった東京支部の松岡さん、こ ちらから一方的にインターンをお願いしたところを受け入れていただいた北山代表にお礼 を申し上げます。ありがとうございました。これから私も生きていく中でいろんな人とご ちゃまぜになり、ごちゃまぜがいいんだという生き方をしていきたいと思います。

〜SOCIALDESIGNWORKS東京支部 松岡から

ここ東京支部では、事業所を構えた福祉サービスの提供ではなく、広報活動や法人での取り組みのひとつである、ごちゃまぜイベント企画を主に行っている支部です。リモートワークを積極的に取り入れている私たち、ここ東京支部は、普段は私ひとりで勤務し、事業所のクルーやプロボノとは、テレビ通話やチャットでやりとりをしています。
限られた期間ではありましたが、東京支部へ実習に来てくださったAさん。黙々と事務作業をして頂くのではなく、一緒に働く”仲間”として、法人のビジョンや理念の共有、ディスカッションの時間を多く設けることを心がけました。

Aさんに取り組んで頂いた実習は、ごちゃまぜ活動を、SOCIALAQUARE®に通所されているメンバーさん主体で行うために工夫できることをまとめる&提案、及び実習を通しての学びや発見を上記のように活字化してもらうことです。
前者においては、私とディスカッション、フィードバックを繰り返し最終的には、事業所にインターネットを介したプレゼンを行って頂くという、Aさんにとっては初めての手法で緊張度も高いものでした。前職やリヴァトレでもコンペの経験があったAさん、資料を制作する上での必要なプロセスやコツなど、私も学ばせて頂くことがたくさんありました。

今回の実習の受け入れは、私たちにとっても初めての経験だったからこそ、こちらが全て実習内容を用意するよりも、一緒に学ぶ時間を共有する。といった意識で取り組ませて頂きました。
障害福祉に今まで全く触れたことのなかった人、興味関心はあったけど、関わるにはハードルが高いと感じていた人などとも、”自然に”障害福祉に交われる空間作りを目指している私たちにとって、Aさんの存在は非常に刺激となりました。また、Aさんにとっても今回の実習が、就職活動及びその後の人生に、何かしらに役立てる経験になったらいいなと思います。

SOCIALSQUARE
SOCIALSQUARE
NPO法人ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉サービス店舗。 社会と現在の自分を結ぶための広場を創造することをコンセプトに、一人でも多くの生きにくさを抱える方々の心に栄養を、その先にある活力ある人生に貢献している。