デザインで叶える福祉の在り方

2019年1月にSOCIALSQUARE熊本店へ入職した江藤菜穂子へのインタビュー記事です。デザイン会社に務めていた彼女がなぜ障がい福祉の分野へ飛び込もうと思ったのか、どのような思いで働いているのか語ってくれました。

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江藤菜穂子

ソーシャルコーディネーター/デザイナー

ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。
今回紹介するのは、元グラフィックデザイナーという経歴を持つ江藤菜穂子です。デザイナーだからこその視点と思い。彼女は何を創造していくのか探りました。

「福祉での正解」に疑問を抱いた

ソーシャルデザインワークスに入る前は、11年ほどデザイン会社や印刷会社でグラフィックデザイナーとして仕事をしていました。しかし、デザインの仕事をしていく上で将来を見据える事が出来なくなり、一度リセットして違う仕事をやってみたいという気持ちになったんです。デザイナー時代はパソコン業務ばかりで、あまり人と接する機会がなかったので、反対に人とたくさん接する事が出来て、かつ興味があることを探しました。そこで見つけた『就労継続支援A型事業所』で、飲食店の職業指導員になり働いている人のサポートや指導をする事になりました。その場所が私の福祉の入り口ですね。しかし「障害がある人の働き場」なのに、結局私たち一般の人と同じスキルを求めているという現場を目の当たりにして、疑問を抱くようになったんです。

例えば、利用者で皿洗いばかりしていた人がいたんですよ。他の支援員からすると「皿洗いばかりじゃ他の場所では通用しない」とか「お給料には見合わない」という意見が出るんですが、私からすれば一日中ずっと皿洗いするのも結構すごい事だと思っていて。私は違う畑から入ってきたので、「福祉での正解」というのが分からなかったのですが、得意な分野をたくさんさせてあげた方が伸びるんじゃないかなと思っていました。そんなモヤモヤを抱きつつ1年半ほど働いたのち、ソーシャルスクエア熊本店の開設に合わせてソーシャルデザインワークスに入職しました。福祉にはデザインのイメージが無いと思っていましたが、『活力ある人生をデザインする』というコンセプトの元、自立訓練(生活訓練)と就労移行支援の2つの福祉サービスを提供しているここでは、さまざまな視点の福祉を見ることが出来ると思えたし、私が出来るスキル=デザインも活かすことができるんじゃないかと思いました。実際働いて1年経ちますが、一人ひとりの個性を尊重し、各支援員の得意分野を生かしてくれています。障害の有無・男女・年齢など関係なく、人と人がどう向き合っていくかという事を真剣に考える姿勢、そこに惹かれたんだと思います。

メンバーさんもいろんなケースの方が来ることに驚いている反面、一般職では見えない世界を知ることが出来ていて、そこもまた魅力と捉えています。例えば家族関係で悩んでいたり、自分の感情が抑えられずに爆発してしまう方もいます。私たちと比べハンディキャップを持っている人たちが多いけど、少しずつでも頑張って変わりたいという意識が見えた時に、ポテンシャルを感じるし、私たち以上にすごいんじゃないかって思えたりするんですよ。メンバーさんのわずかな成長を見れた時、こちらも嬉しくなりますし、小さな事が自分事のように嬉しいんです。人はそれぞれ幸せの感じ方が違うので、メンバーさんのペースに合わせて向き合う姿勢が大切だと思っています。

 

デザインと福祉の関わり方

デザイン会社に勤めていた頃、ハードワークで自分自身の心の余裕がないという事があり、色彩心理を勉強をした事があるんです。色によって今の心の状態が分かるというものなんですが、メンバーさんには自分の気持ちを伝えれなかったり、上手く表現出来ない、どうやってやったらいいか分からないという人が多いんです。デザインがそういう人たちの気持ちを汲み取り寄り添う事に役立てれると考えています。イラストを書いたり、自分の作品を作ったりするメンバーさんも多いので、そういう人たちの選択肢が増えたらいいなと思っています。

また、発達障害と言われている方の中には視覚で示さないと分からない部分が時折あって、そういう時にイラストなどの視覚効果をデザインで補っています。現在はそういったプログラムのデザインをはじめ、ソーシャルスクエアの宣伝用のパンフレット制作、GOCHAMAZE TIMESの冊子デザインなどもしていますよ。

(SOCIALSQUARE熊本店のパンフレットとプログラムの予定表)

そういった活動をしていると「デザインと福祉はあまり変わらないのでは」という考えになってきました。クライアントの声を聞いて、それを形にしていくデザイナー。利用者の声を聞いて、支援をしていく支援員。自分の思いとスキルで、会社と社会に貢献できれば幸いです。今後は、メンバーさんの中でイラストなどの自分の作品を作っている人たちがいるので、いろんな人に披露できる場を作ってあげたいと思っています。見せ方を工夫すれば商品として販売する事だって可能ですし、メンバーさんにとってもいい刺激になると思います。デザイナーとして出来る事、コーディネーターとして出来る事。いろいろ模索してどちらも頑張っていきたいですね。

PROFILE
江藤菜穂子
江藤菜穂子

江藤 菜穂子(えとう・なおこ)
SOCIALSQUARE 熊本店 ソーシャルコーディネーター
グラフィックデザイナー
デザインやアートを通し自由に表現している作品に触れ、それぞれの個性や多様性の面白さが周囲に伝わっていくことを実感。その後、障害福祉の世界に入りソーシャルデザインワークスへ入職。法人内ではデザイン業務も担当している。趣味は映画鑑賞。

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