人とつながり、知ってもらう

今回は2021年9月入社、現在はソーシャルスクエア 郡山店で就労移行支援の支援員として働く星 和磨をご紹介。前職ではスイミングクラブにて競泳ジュニア選手をメインに指導。11年間も続けたコーチ業をやめ、2021年にOPENしたばかりのソーシャルスクエア郡山店に入職。いったいどのような想いで「福祉」の世界に飛び込んだのか?

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星 和磨(ほし・かずま)

SOCIALSQUARE 郡山店 スクエアクルー

ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。

今回は2021年9月入社、現在はソーシャルスクエア 郡山店就労移行支援の支援員として働く星 和磨をご紹介。前職ではスイミングクラブにて競泳ジュニア選手をメインに指導。11年間も続けたコーチ業をやめ、2021年にOPENしたばかりのソーシャルスクエア郡山店に入職。いったいどのような想いで「福祉」の世界に飛び込んだのか?

※掲載内容は取材当時のものです

人の複雑性

僕はソーシャルスクエア郡山店がOPENする少し前2021年の9月に入社して、2年間郡山店の就労移行支援の支援クルーとして働いています。以前はスイミングクラブのコーチとして11年ほど働いていた為、そこでも障害のある方と接する機会はありましたが、「福祉」の業界にしっかりと入り込んだのはソーシャルスクエアが初めてでした。

「福祉」は未知の世界だったので、支援業務の常識や知識を身に着けることには苦労しましたが、利用者さんと接する対人業務に関しては、以前の仕事と大きくギャップはありませんでした。「スイミングクラブのコーチと選手」と「ソーシャルスクエアの支援クルーと利用メンバーさん」の関係性は非常に似ていて、対人関係においての互いの気持ちが上手く伝わりきらない歯がゆさや、教える立場の発言の重みは、業界が違っていたとしても「やっぱりそうだよなあ」と反省したり、感じる場面は多々ありました。この感情はマイナスなものではなくて、むしろ「これこれ!人ってこうだよなぁ」っていう変な理解に近いのかも。

僕は仕事を選ぶ条件の中で”軸”のようなものがいくつかあるのですが、その中に「人と直接関われる仕事であること」というものがあります。そもそもが、人の複雑性が好きといいますか…、このあたりは言語化すごく難しくて、伝わりようによっては怖い人って思われそうなんですけど(笑)
目の前で当たり前に起きているシーンでも、色んな条件が揃ってそのシーンが成り立っているわけで、人の事情や感情が交じり合って、「今この瞬間がある」とリアルで感じることが好きなんです。そして、「どんな単純なことも、ただ単純には語れない状態である」ということが好きなんです。

そういった自身の関心もあって、人の複雑性を直接的に受け取ることができる「対人業務」は自分がする仕事の絶対条件にあります。“軸”と聞くと「人を想って」や「人のために」というような優しい理由があるように思われるんですが、実はただ人に対する興味が強くて、観察することが好きって想いが強いんですよね。

人に関わる仕事を続けてきて、大事にしたいと思っていることは「その人と同じものを見る」ということです。それは伴走とか、同じペースで歩く…というのとは違って、その人がその瞬間になにを見ているかコミュニケーションを通したり、色々な情報を重ね合わせて考えることです。

 

垣根に縛られず人と関わりたい

以前のスイミングクラブのコーチのメイン業務は、大会に出場する競泳選手の育成でした。選手の泳ぎをみていたというより僕の感覚としては「対人」が仕事だったと思ってます。選手との日常会話から人間関係や生活リズム、興味などの情報をひたすらかき集めて選手について知ることで、その選手が何をすると最大限の能力を発揮できるのか観察をしていました。コーチは、「子どもはこう」という決めつけではなく、「この人であればこう」と「個」の視点が大事だと感じました。複数のコーチがその選手について、あらゆる視点からの意見を挙げ話し合っていくので、「人の見方」に関しては、かなり鍛えあげられたと思います。

そういった自身のスキルの実感もありつつ、長い間コーチとして身を置いていましたが、ある時にもっと広い世界で、多くの人と関わっていきたいという思いが芽生えてきました

元々、自分がスイミングクラブのコーチをした理由も、「全世代の多くの人と関われる職に就きたい」という自分の”軸”が関係しています。学生時代はスポーツをしていたため、就職先は全年齢層の人に関われて、性別も障害もすべて関係なくできるスポーツの仕事とは…?と考えたときにでた答えが「水泳」でした。この時も、自分は水泳を小学生の時ぐらいしかしてきてなかったんですけど、スイミングクラブでコーチになろうって動いていました(笑)
僕の場合、”軸”さえ合えばすぐ動けてしまうんですね。

その仕事は、確かに多くの人と関わることはできましたが、それでも限定的なものでした。僕はもっと広い世界で人をみていきたいし、その手段がほしい。まずは、自分の住んでいる地域からたくさんのことを知って、たくさんの人と関わりたいと思い色々な情報をかき集めていました(笑)
そんな中、ソーシャルスクエア郡山店の出店情報を知りました。業務内容が対人で、人とのつながり作りができる「ごちゃまぜ」活動は、その時まさに自分がやりたかったことだと思い、すぐ郡山店の立ち上げに関わりにいってましたね。

【ごちゃまぜ】
障害の有無、国籍、年齢、性別、文化など異なる人が存在する社会を楽しむための自然な機会を「ごちゃまぜ®」と題し、自分たちがやりたいと思え、みんなで楽しめるまちづくり企画を地域の中で運営しています。その地域にとって大事なことをその地域の人たちと共創しています。

思っているよりも、人は知らない

郡山店は2023年の10月から自立訓練(生活訓練)のサービスが開始されました。郡山店はこれまで、障害や難病を持つ方が働き方について考えたいと多くの方に就労移行支援をご利用していただきましたが、中には「生活に課題を感じている」という方や「しっかりと時間をかけて就職のステップに進みたい」といった利用メンバーさんもいらっしゃいました。そういった方々のために、自立訓練(生活訓練)サービスを開始することになったんです。

こちらのサービスはいずれは働きたいけれど、またご自身の社会経験や障害に対する不安感が強いといった方々がまず、生活リズムを整えることや、人とコミュニケーションをとることから始め、徐々に社会に慣れていくサービスとなっています。既に郡山店で就労移行サービスをご利用していただいている利用メンバーさんの中にも、自立訓練(生活訓練)に移行された方が数名いらっしゃいますね。
今回自立訓練(生活訓練)が開始されたことで、ご本人の準備が整った際に就労移行サービスにまた戻れる選択の幅が生まれたのではないかと思います。利用という方法以外にも、人とのつながりを持ちたい方やまちづくりにご興味のある方は、「ごちゃまぜ」イベントが開催されていますので、是非お気軽にお立ち寄りください。

「つながり」という点においては、僕の所属している郡山店は特に「ごちゃまぜ」イベントを高頻度に開催しているため、「広い世界で多くの人とつながりたい」という自身の“軸”はしっかりと充実感を得られています。

郡山店の立ち上げ当初から2年間、とめどなく「ごちゃまぜ」活動を続けてきたことで、やっと郡山店の「風土」や「雰囲気」が形成され、地域とつながり始めたんだと実感します。OPEN当初は、ソーシャルスクエア郡山店の地域の立ち位置は、もちろん確立できていませんでした。だから、まずは地域の皆さんに知ってもらうことが重要だと思い、郡山店発信で地域の皆さんを巻き込んだ「ごちゃまぜ」活動を定期的に行って、つながりづくりに力を入れてきたんです。最近で
「ソーシャルスクエア郡山店さんにここを頼みたい」
「ソーシャルスクエア郡山店さんとだから、これをしたい!」
と頼ってもらえたり、こちらが巻き込まれる側になれたのは、やっと自分たちの活動について知ってもらえたんだと嬉しい気持ちになりました。

といっても、まだまだ知名度は低いと思っています。「ごちゃまぜ」や「ソーシャルスクエア」について自分の隣に住む人に聞いてみても、おそらく知られてないでしょうし…まだ皆さんにとって身近な存在になりきれていないんです。2年間「福祉」の業界に入って、僕自身が感じたことは「思ったよりも、人は知らない」ということです。初めて「福祉」業界に入って、当たり前かのように話している単語や情報は自分にとって当たり前でもないし、つながらないと知らない情報」ばかりでした。そういった実感もあるため、自分たちが行っている活動も、大体の人にはなにも知られていない。知られていないから「誰でも耳にしたことがある情報」となるように動く姿勢が大事だと思って活動をしています。

僕は、「ソーシャルスクエア」や「ごちゃまぜ」が地域全体に広まり、地域単位で「ごちゃまぜ」活動ができるようになっているといいなと思っています。
そのためにまずは「つながらないと知らない地域資源」ではなく「なんか聞いたことがある地域資源」に変わるよう、今後も「ごちゃまぜ」活動を頻度を緩めることなく開催していきたいですね。

PROFILE
星 和磨
星 和磨

星 和磨(ほし・かずま)
SOCIALSQUARE郡山店・郡山駅前店
スクエアクルー

1989年生まれ。福島県南会津町出身。
前職ではスイミングクラブにて11年間、競泳ジュニア選手をメインに指導。
「子供たちがこれから生活する社会」を考える上で、福祉と教育を掛け合わせた地域創りがしたいと考え2021年9月に入職。
福祉×教育の観点から地域創りを考える。

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