「その先」でできること

今回は2022年8月入社。ソーシャルスクエア 西宮店で支援員として自立訓練(生活訓練)と就労移行支援を兼任で1年間務め、2023年10月から西宮店のマネージャーとして就任した上本 純平を紹介。理学療法士免許を取得後、西宮市で病院・クリニックに勤務し、リハビリテーションに従事。その後、ソーシャルスクエアに入社して1年が経過した今、「医療」の現場を離れて「福祉」の世界に入って感じたこと。西宮店のマネージャーとしてのこれからの「想い」について語っていただきました。

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上本 純平(うえもと・じゅんぺい)

SOCIALSQUARE 西宮店 マネージャー /理学療法士

ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。

今回は2022年8月入社。ソーシャルスクエア 西宮店で支援員として自立訓練(生活訓練)就労移行支援を兼任で1年間務め、2023年10月から西宮店のマネージャーとして就任した上本 純平を紹介。理学療法士免許を取得後、西宮市で病院・クリニックに勤務し、リハビリテーションに従事。その後、ソーシャルスクエアに入社して1年が経過した今、「医療」の現場を離れて「福祉」の世界に入って感じたこと。西宮店のマネージャーとしてのこれからの「想い」について語っていただきました。

※掲載内容は取材当時のものです

「その先」を見たいと思った

僕は2022年8月に入社し、ソーシャルスクエア西宮店で1年ほど就労移行支援自立訓練を兼務し、ご利用メンバーさんの支援を行い、そこからアシスタントマネージャーの研修を受けて2023年10月よりマネージャーに就任しました。

入社当初から自立訓練と就労移行の支援を行ってきましたが、それぞれの支援の印象は異なって感じます。就労移行を利用するメンバーさんの多くは目的が明確で、主に「就職」や「社会復帰」を目指す方が多くいらっしゃいます。一方、自立訓練の場合は課題感がそれぞれ異なり、就職以外のことも目標になるため、計画や支援方法の「自由度が高い」と感じましたね。初めは戸惑いもありましたが、その人についてしっかりと「見る」重要性は、自立訓練の支援に携わったことで改めて学べたと思います。

僕は前職で理学療法士として病院などでリハビリテーションに従事していたので、相手の状態を「見る」ことはよくしていました。しかし、「見る」目的やその後のアプローチの方法は、医療と福祉の業界で違いました。でも、その違いが僕は魅力に感じたんだと思います。
リハビリテーションは基本的に本人が悪くなったと感じる部分にフォーカスして展開することが多いです。ただ、リハビリでは元の生活に戻しきれないケースもあり、僕が担当した患者さんの中には、高次脳機能障害で元の生活ができない方や、体が動くようになっても精神面や周囲の環境によって、社会に出れなくなっていた方もいらっしゃいました。
社会復帰がしきれなかった患者さん達と関わっていく中である時
「この人たちは今後どうなっていくのだろう…」
社会復帰が困難になった方々の今後の生活、その後の人生など「その先」について気になったんです。

リハビリテーションの考えには
「機能低下のある状態でも本人の活動が向上し生活がしやすくなること」
「本人の社会参加の程度が向上し、それも含め本人や介護者の幸福度が向上すること」
というQOL(Quality of Life)とも言われる生活の質や人生の質と呼ばれる言葉があります。その考えを病院やクリニックという環境で終了させるのではなく、医療という分野以外でも今後の生活や社会参加をサポートしていく仕事についてみたいと僕自身が思うようになっていきました。
僕は、障害や病気に困った人のサポートには特に繋がっていく「人」や、干渉する「環境」が重要なのではないかと思っており、そこに関係する「環境因子」や「まちづくり」をキーワードに「福祉」や「障害」について調べていきました。そこから、ネットでソーシャルスクエアをみつけ「すべての仲間の幸せを追求すると共に諦めのない社会を創る」という考えに共感して入社を決め、今に至ります。


ソーシャルスクエアで働いてみて、福祉の業界についてはまだまだ学ぶ身ではありますが、福祉の世界でも、その人が良くないと思っているところさえも、良いところとして捉えて「活かす」という目的で「見る」ことができて、そこから皆さんの今後幸せについて追及する支援ができます。僕は福祉のこういったところが非常にいいなと思ってます。

「やろうと思えば、できること」はやってみる

ソーシャルスクエアに入社したばかりの時期は、福祉業界の制度について知らないことも多く、その状態の自分でもできることからやっていこうと行動していきました。
例えば、ソーシャルスクエアのカリキュラムの中にご利用メンバーさんとともに近場の公園や神社に行ったりする『散歩プログラム』というものがありますが、その行き帰りの道でカリキュラムに参加していたご利用メンバーさんと「ゴミ拾い」を始めてみたいと提案しました。

「ゴミ拾い」は大体の人にとって、難易度の高いものではなく「やろうと思えば、できること」だと思うんです。それをしっかりと「やってみる」ことが大切なんじゃないかなって。
就労移行のご利用メンバーさんの中には、仕事を探すとき、自分ができることからお仕事を探している方が複数いらっしゃいますが、それと同時に「自分にできることがわからない」という意見も多くあります。そういった悩みに関しても、まずは「ゴミ拾い」などの「やろうと思えば、できること」からやってみてもいいのかなと思ったんです。そこから、気づくことはきっとたくさんありますから。


加えて、僕は環境や社会など「まちづくり」に非常に関心が深いので、そこに少しでも携わる方法としても「ゴミ拾い」は手が出しやすい手段でした。小さいことではありますが、人との小さな繋がりが生まれるかもしれないので(笑)
こういった小さな影響が生まれるかもしれない行動はマネージャーになっても続けていきたいと思います。

ソーシャルスクエアの業務をしていく中で、ソーシャルスクエア西宮店でマネージャーにならないかとお話をいただきました。そのお話をいただいてから、利用者さんの支援業務に加えて、アシスタントマネージャーの研修を受けつつ、病院やクリニック、ご利用メンバーさんに関わる関係機関の元へ伺い、ソーシャルスクエアの活動についてご紹介しに行ったりと外出の機会も多かったですね。10月から正式にマネージャーになったので、僕たちソーシャルスクエア西宮店の活動や魅力について伝える能力をもっと伸ばして、ソーシャルスクエア西宮なら行ってみたいと思ってもらいたいですね。

手に届く範囲で助け合えるコミュニティ

ソーシャルスクエア西宮店をまとめていく立場になり今後の目標としては、自分が入社前から共感していた「すべての仲間の幸せを追求すると共に諦めのない社会を創る」というソーシャルスクエアの理念を大事に、自分達の活動を地域に広げ、各地域で社会と繋がる広場をちゃんと作っていくことです。

ソーシャルスクエア西宮店で働き続けて感じた凄みの一つとして「手に届く範囲で助け合えるコミュニティがある」ことだと思います。これは、ご利用メンバーさんとスタッフだけの繋がりだけでなく、地域とソーシャルスクエアとの繋がりの話でもあって、ソーシャルスクエア西宮店では定期的に事業所前でイベントを開催しています。
「地域へはみ出していくソーシャルスクエア」をテーマに、ご利用メンバーさんや近隣の皆さんと事業所前に集まって七輪を囲んだり、冬には事業所前でこたつを出してパソコン作業をしていました。年末はこたつに加えて七輪も出して、結構好き勝手に地域にはみ出してしてます(笑)
そういった西宮店のはみ出し方は個人的にいいなと思っています。

地域へはみ出した活動をしていると、ソーシャルスクエアの前を通った地域の皆さんが声をかけてくれたり、差し入れをいただくこともあったり、またそこから関わりができた地域の皆さんが次のイベント活動の時に参加していただいてたりなんてこともあります。
こういった繋がりができているのは、今いるスクエアの支援クルーの皆が「こんなことしたい」という声をあげてくれているからであって、今後もそのような声を大事にして、クルーの働きやすい環境やご利用メンバーさんにとっても居心地の良い居場所を共に実現していきたいと思います。

先の活動以外にも、ハロウィンやクリスマスなど季節のイベントで、他施設との合同企画や、緊急で人の手が必要な時にソーシャルスクエアを頼ってもらうなんてこともありました。また、こちらばかりが尽くす「なんでも屋」にならないように、ご利用メンバーさんの就労経験をつくる機会を近所のお店に依頼して、こちら側も協力をお願いすることもあります。
今のようにお互いに困ったことがあったとき、手に届く範囲ですぐ助け合えるコミュニティがあることはとても素敵なことだと思います。ソーシャルスクエアの活動を通じて「手に届く範囲で助け合える」社会にして、1人でも諦めない人が増える社会にしていきたいですね。

PROFILE
上本 純平
上本 純平

上本 純平(うえもと・じゅんぺい)
SOCIALSQUARE 西宮店
スクエアマネージャー/理学療法士

理学療法士免許所得後、西宮市で病院・クリニックに勤務し、リハビリテーションに従事。個人的な活動としてコンディショニング、セルフケアやトレーニングの指導を行う。ソーシャルデザインワークスの理念に共感し、障害のある方々が生きやすい社会を作り、医療、福祉、地域社会の連携、まちづくりに携わっていきたいとソーシャルデザインワークスに入職。

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