コーヒーのような刺激と癒しを

今回はソーシャルスクエア西宮店で就労移行支援の支援員として働く河津純子をご紹介。アルムナイ採用(出戻り制度)で2023年10月にソーシャルスクエアの支援員として再入社。出戻りから支援業務に加えて、コーポレートクルーとして新たにはじめた業務とは?彼女の支援や思い、価値観についてインタビュー。

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河津 純子(かわづ・すみこ)

SOCIALSQUARE西宮店・スクエアクルー/法人本部・コーポレートクルー

ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。

今回はソーシャルスクエア西宮店就労移行支援の支援員として働く河津純子をご紹介。アルムナイ採用(出戻り制度)で2023年10月にソーシャルスクエアの支援員として再入社。出戻りから支援業務に加えて、コーポレートクルーとして新たにはじめた業務とは?彼女の支援や思い、価値観についてインタビュー。

※掲載内容は取材当時のものです

働き続けること

私はSOCIALSQUARE西宮店の支援クルーとして、障がいのある方の就職や復職を目指すご利用メンバーさんのサポートを行う就労移行支援をするほか、法人本部のコーポレートクルーとして、採用補助の業務を任せていただいています。

採用補助では主に、求人サイトの管理・運営、面接の一時対応などをしています。基本的には支援クルーとしての支援業務を第一に働いているので、採用補助は業務中のスキマ時間でやっていることが多いですね。
求人サイトの記事編集などは手を付けやすいので、ちょくちょく時間があるときに編集しています。ソーシャルスクエアの求人はHPの他に、いくつか求人サイトを利用してるのですが、それぞれサイトによってターゲット層もユーザーの興味関心は違うので、その求人サイトを見る方に合わせた求人の記事にできるように心がけています。
手探りですが、支援の息抜きでやっているものでもあるので、結構楽しんでやっていますね。

支援業務は、障がいや難病のある方が働くことを目的とした就労移行の支援のほかに、障がいや難病のある方が就職された後、働き続けることを目的とした就労定着支援の対応も任せていただいています。割合としては就労定着支援のご利用メンバーさんの対応のほうが多いかと。

就労定着支援では、ご利用メンバーさんが働いている中で、障がいにおける業務の課題やトラブルが生じた際、支援クルーが、ご本人や企業様に相談・助言などのサポートをさせていただくサービスとなっています。具体的な業務内容としては、面談の実施や、企業訪問でご本人が働く様子を見にいったり、勤めている企業の職員の方からお話を伺ったりしていますね。就労定着支援のご利用メンバーさんのお悩みを聞くのみではなく、スクエアの支援クルーが第三者の立場で、ご本人の悩みを解消する働きができるのがこのサービスの特徴です。

そういったサービスのため、私は企業訪問で外出する機会が多いです。このお仕事のやりがいは就労移行支援をご利用していた卒業メンバーさんのその後の姿が見れることですね。皆さんが新しい環境で頑張って働いている姿を見ると、自分も頑張ろうという気持ちになれます。

現在、就労定着支援という「働き続ける」ことを目的とした支援をさせていただいていますが、障がいや難病がありつつ「無理なく働き続ける」ってとても難しいこと感じています。
かくいう私も持病があり、一度ソーシャルスクエアを辞めているんです。持病自体は支援クルーの皆さんに周知していたので、体調が著しくないときは、支援クルーの方々にカバーしていただいていました。スクエアの皆さんからのサポートもあったおかげで「働き続ける」ことはできましたが、「持病を抱えて働き続ける」ということについて、自身の見解が甘かったと思っています。そのため、一度療養も兼ねて、自分にあった働き方について考える時間が必要だと感じソーシャルスクエアを辞めさせていただくことになったんです。

退職をしたらソーシャルスクエアとの関係も無くなってしまうかなと少し寂しかったんですが、関係が途切れるなんてことはなく、スクエアの支援クルーの皆さんめちゃくちゃ優しいままでしたね。支援クルーが集まってご飯に行くことがあったら「体調よかったらおいで」と誘っていただいたり、ソーシャルスクエアに勤めていたころ大変お世話になった理事の今泉さんとも「最近どう?」みたいなやりとりを定期的にしていただいていました。ソーシャルスクエアの皆さんが自分のことを仲間として、ひとりの人間として見捨てずにこういった付き合いを続けさせてもらえたのは、とても救いでした。

ソーシャルスクエアを辞めてからしばらくして、自身にあった働き方について少しずつわかってきたり、持病の治療法が見つかったりと順調に事が進んで、当時はリハビリみたいな感じで、放課後デイサービスで働いていました。今泉さんとのやりとりは定期的に続いていて「最近また元気に働くことができるようになった」って話をしていたら、ソーシャルスクエア人事補助の仕事を在宅してもらえたりしないかっていう提案をいただいたんです。これが先に話していた採用補助の業務ですね。話をいただいた当初は、放課後等デイサービスをやりつつ、今泉さんからいただいた採用補助の業務を在宅で1時間程度やってみるといった働き方でした。お試しという感じでやってみたことだったんですけど、この働き方、不思議と自分にピタッとハマって…。

恐らく自分は支援ばかりしてしまうと、本当に考え込んでしまうタイプらしく、別の業務を入れ込みつつ支援業務をするほうが色々と気持ちのリフレッシュになったのかなって思ってます。採用補助の仕事自体も、無事採用された支援クルーの方から「あの時はありがとうございました。」といったお声をもらえたことが結構嬉しくて、それにやりがいを感じていました。その後、ソーシャルスクエアで非常勤として働く機会を何度かいただき、代表の北山さんから自身の今後の働き方についてお話していったところ、ソーシャルスクエアに再就職させていただくことになりました。再就職といっても、一次面接から二次、最終面接までしっかり面接しました。面接官の皆さん自分の知っている支援クルーの方ばかりでしたので、初回に入ったときよりもめちゃくちゃ緊張しましたね(汗)

「働き続ける」ことについて、私も随分と悩まされましたし、今でも体調管理を徹底していますが、この経験はゆくゆくご利用メンバーさんの支援にも繋がっていると思います。また、いまこうして仕事に復帰できたのは、ずっと支え続けていただいたスクエアの支援クルーの皆さんの存在が大きいと思います。
私はそんな素敵な人に囲まれた環境でまた働けて嬉しいですし、そんな素敵な方々の為にも、ご利用メンバーさんにも無理なく働き続ける支援をしていきたいなと思います。

等身大で

ソーシャルスクエアに戻ってきてから、支援のやり方が変わったかというと特に大きく変化はないですね。変わっていない…というより元からこうでありたいと思っているのは、等身大でいることですかね。

私はスクエアの支援クルーを数年やっていますが、支援の中では悩むことも、わからないことも当然あります、人間なので。そういったことについて知ったように振る舞うよりも、わからないことはしっかりと聞いたほうがいいですし、悩みも「今自分は悩んでいる」と知っていただくだけでも、それは解決に繋がると思います。人間らしい「弱さ」を見せることも大切なのかなと思い、できる限り等身大でいようとしています。

私の好きな言葉として「カーペディエム」(今この瞬間を楽しめ)っていうものがあるんですけど、こういったことをしたいって将来の目標を持つことも時には大切ですが、私は結構「目の前のこと、その日を楽しめたらいい」みたいなスタンスで生きてて…ですので私自身、目標をもってご利用メンバーさんのことを「訓練する!」とか「指導する!」って意識はあまりないんです。

プログラムをしているときも、ご利用メンバーさんと一緒に
「どういう風なのがいいかな」
「なにすると良いと思います?」
って聞いてみて、支援では利用者さんと同じ目線に立ち、一緒に何かをつくっていくみたいな感覚を大切にしています。

採用補助の業務では、支援とはまた違いソーシャルスクエアの就職希望の方を、いかに自分らしさを出していただいて、等身大になっていただけるかが自分の仕事かなと思っています。私もこの前まで就職活動をしていたので、まだ鮮明に覚えていますが、就職活動って不安と緊張の日々なんですよね。応募した企業とのちょっとしたやりとりですらどっと疲れるというか…。ですので、私の役割はちょっとでもソーシャルスクエアの就職希望の方が安心して面接に挑めるように、できるだけ柔らかく、丁寧な対応を心掛けています。先にいったように、就職希望の方がその後支援クルーになった際、お礼の言葉をいただいたり、話しかけたりしていただけるのはやはりすごく嬉しいですしね。皆さんに安心してもらえる対応はまだまだ勉強中ですが、頑張っていきます!

コーヒーのような人になりたい

私は学生時代にアメリカに留学していて、そこで会ったスウェーデン人の友人が「FIKA」という言葉を教えてくれたんです。

「FIKA」っていうのは、簡単にいえば「コーヒーブレイク」のことなんですけど、そのスウェーデン人の友人といるとよく「FIKAしよ〜」って食事やお茶に誘ってくれました。私はこの時間がすごく好きで、誰かと一緒にホッとする時間を共有するのってなんだか幸せだなって思ったんです。

この幸せな時間を職場でも広めていきたいなって思ってて、ここ最近、隙あらば支援クルーの皆さんに「FIKA」してもらおうとしてますね。ソーシャルスクエアの開業前に、スクエアのキッチンで朝ごはんを作ったりして順調に「FIKA」計画はすすんでいます(笑)

支援でも採用補助でも安心してもらえる存在になれたらって思っているので、自分がいることでホッとできる…私の大好きなコーヒーのような人になりたいなって思ってます。

コーヒーって刺激はありつつも、癒しや幸せな時間を与えてくれる飲み物だなって思ってて。今まで私を支えていただいたスクエアの支援クルーの皆さんは私にとってコーヒーのような存在でした。今度は自分がコーヒーのようなホッとできる存在になれるよう、今後も「FIKA」はどんどんやっていきたいなと思います。

PROFILE
河津 純子
河津 純子

河津純子(かわづ・すみこ)

SOCIALSQUARE西宮店・スクエアクルー
法人本部・コーポレートクルー

1989年生まれ。大阪府出身。大学では政治学専攻。好きなことは旅とFIKA。

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