気持ちを汲んだファシリテート
ソーシャルスクエア郡山店管理者の堀金 悠太をご紹介。理学療法士資格を取得後、郡山市の総合病院に5年間勤務。病院にて障害を持った方々と接するうちに、地域での支援や社会作りの重要性を感じ、就労継続支援A型施設へ転職。同施設を3年半勤務後、より地域と密に関わる福祉をしたいと志し、ソーシャルデザインワークスへ入職。人を支援する仕事を続ける堀金の想いとは。
堀金 悠太(ほりがね・ゆうた)
SOCIALSQUARE 郡山店 管理者 理学療法士
ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。
ソーシャルスクエア郡山店管理者の堀金 悠太をご紹介。理学療法士資格を取得後、郡山市の総合病院に5年間勤務。病院にて障害を持った方々と接するうちに、地域での支援や社会作りの重要性を感じ、就労継続支援A型施設へ転職。同施設を3年半勤務後、より地域と密に関わる福祉をしたいと志し、ソーシャルデザインワークスへ入職。人を支援する仕事を続ける堀金の想いとは。
※掲載内容は取材当時のものです
主体性を引き出す
—— 編集部 - 堀金さんが支援をしているご利用メンバーさんってどういった方々ですか。
ひとえに、どういう人…と言葉にするには難しいですね。
みなさんそれぞれ、違う障害や難病があって悩んでいらっしゃるので。
またその悩み自体も本当にご本人が悩んでいるものかもわからない場合もあります。
「その人のことをいかに知れるか」
その人の奥にある考え、その考えに至った背景を知るため、いかに自分の意識をその人のために巡らせることができるかが、支援でまず一番に重要なことだと思っています。ご利用メンバーさんに限らず、人って「こうしていきたい」「こうなりたい」みたいな、主体性が絶対あると思うんです。その主体性をどうやったら引き出せるかなって考えながら普段は支援をしていますね。
自分がしていることは、ご利用メンバーさんの考えを知って、整理して、方法やきっかけを渡すファシリテーターの役割に近いのかもしれません。
—— 編集部 - ファシリテーターですか。堀金さんは理学療法士の資格をご取得されていますが、理学療法士を目指した際に、実際どなたかにファシリテートしてもらった思い出などがあるのでしょうか?
いえ、残念ながらそんなことはなくて。
理学療法士を目指したのは高校生の頃でしたが…「なんとなくなろうかな」というものでした。
—— 編集部 - あれ、そうなんですね。理学療法士を目指すにあたって、主体性を得るきっかけがあったのかと…
それこそあの時の自分は主体性が引き出し切れずにいた状態だったと思います。今思うと高校の時の自分って、ご利用メンバーさんのみなさんとちょっと似た状況にも思えます。
主体性は誰にでもあるものだと言いましたが、やはりきっかけがないと自分の主体性って見つけにくいんですよね。
孤立から学んだ支援の本質
—— 編集部 - というと、堀金さんは理学療法士になってから主体性を得るようなきっかけがあったのでしょうか
そうですね。自分の場合は理学療法士として働いてから、とあるきっかけがあって主体性が持てるようになったと思います。理学療法士の資格を取得後、病院で働いて4年目ぐらいの時、50代の男性の方が脳出血で入院されてきたんです。その方は半身麻痺になっていて、僕が主に担当として、その方の歩く練習に2か月関わっていました。
その後その方は、リハビリに特化した病院に転院することになって僕の担当から離れたんですが、そこからさらに3、4か月後ぐらい経過した時ですかね…その男性がまた僕の病院に運ばれてきたんです。
運ばれてきた理由を調べてみると、どうやら彼は自死を選んだらしくて。
最終的にそのまま亡くなってしまいました。
「自分が孤立してしまったことに耐えられなかった」ということが自死の原因のようでした。リハビリもしっかり続け、歩けるようにはなっていましたが、結局働くことや外にでることもなかなかできない状態で、前までできていたことが急にできなくなって孤立してしまっていったらしいんです。
その患者さんにとって「歩ける状態になる」ことは、特に重要なことじゃなかったんですよね。
サポートしてもらいたかったのはもっと別のところだったんです。
このことをきっかけに、支援の本質を見たというのでしょうか。
本人にとっての大切なことを自分が決めつけてはいけないと知れたし、その方がどうしていきたいのかを気持ちを汲み、ファシリテートしていきたいと思ったんです。
誰でも繋がれる世界
—— 編集部 -堀金さんの主体性がよくわかりました。ご利用メンバーさんにもそういった主体性を得るには、なんらかのきっかけが重要に思われますが、そういったきっかけづくりについて聞いてもいいでしょうか?
地域の人を巻き込んだ「ごちゃまぜ活動」できっかけをつくり、主体性を見つけだす。
そんな動きができたらいいなと思っています。
【ごちゃまぜ】
障害の有無、国籍、年齢、性別、文化など異なる人が存在する社会を楽しむための自然な機会を「ごちゃまぜ®」と題し、自分たちがやりたいと思え、みんなで楽しめるまちづくり企画を地域の中で運営しています。その地域にとって大事なことをその地域の人たちと共創しています。
これは僕個人の夢みたいなものですが「ごちゃまぜ×走る」みたいな、走ることをテーマにしたイベントをいつか開催できたらなって思っています。
—— 編集部 -「走る」というと、結構しんどそうな印象がありますね。
そうですよね。でも、走っててしんどいと思う時って、おそらく目標のタイムや距離が決まっている場合なんじゃないかなって思います。以前スクエアクルーがとあるテーマで話す『ごちゃまぜラジオ』でゲストとして出演した際にもお話させていただいた内容でもあるのですが…
僕はランニングを趣味にしていて、毎朝走る以外にもランニング関係の雑誌を読んだりもすることも好きなんです。雑誌のトピックでは、黒人や白人、黄色人種も入り交じってランニングする様子がたくさんあります。なんなら、受刑者の方がランニングチームを組んだりする話もあって…なんでもありって感じなんです。
そういった、なんでもありなことを「ごちゃまぜ×走る」イベントでできたらいいなって思ってます。真面目に走りたい人は一生懸命走ったらいいし、体力に自信がない方は歩いたっていいんです。そこにきっと同じペースの人がいるはずなので、その人達と会話ができたらいいですよね。僕自身の目的はそういう会話やコミュニティの繋がりにあるので。
「走る」っていう共通点さえあれば、誰でも繋がれる世界があるんじゃないかなと思います。
ご利用メンバーさんや地域のみなさんにとって主体性を得るきっかけを、「走る」ことで作っていきたいですね。
堀金 悠太(ほりがね・ゆうた)
SOCIALSQUARE 郡山店
管理者
理学療法士
1991年生まれ。福島県鏡石町出身。
理学療法士資格を取得後、郡山市の総合病院に5年間勤務。
病院にて障害を持った方々と接するうちに、地域での支援や社会作りの重要性を感じ、就労継続支援A型施設へ転職。福祉の世界へ飛び込む。
同施設を3年半勤務後、より地域と密に関わる福祉をしたいと志し、ソーシャルデザインワークスへ入職。