これからを生きる人のために、私ができること
ソーシャルスクエア郡山店のスクエアクルー岡田みずほをご紹介。子どもを取り巻く家庭・夫婦関係の課題に関心を持ち、大学卒業後は結婚相談所で約3年勤務。法人の想い・ビジョンに共感し、2022年にソーシャルデザインワークスへ入職。心理学や教育に興味を向けた理由、そして彼女の願う社会とは
岡田 みずほ(おかだ・みずほ)
SOCIALSQUARE 郡山店 スクエアクルー・特別支援学校教諭一種・認定心理士
ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。
ソーシャルスクエア郡山店のスクエアクルー岡田みずほをご紹介。子どもを取り巻く家庭・夫婦関係の課題に関心を持ち、大学卒業後は結婚相談所で約3年勤務。法人の想い・ビジョンに共感し、2022年にソーシャルデザインワークスへ入職。心理学や教育に興味を向けた理由、そして彼女の願う社会とは
※掲載内容は取材当時のものです
子どものためになることをしたい
—— 編集部 - スクエアに入職されて約2年が経過しますね。支援の仕事はどうですか?
未だに悩むことはたくさんあります。
学生時代に保育や初等教育について勉強してきたので、学んできた知識の年齢層が異なる点で難しさを感じています。スクエアのご利用メンバーさんは「大人」ですので。
どこまでご本人に委ねるべきか、どのタイミングでこちらがアクションを起こすか、悩みながら支援しています。
—— 編集部 - 確かに子どもと大人だとサポートする範囲が違いそうです。高校から教育・保育福祉を専攻していたとのことですが、教育分野に興味を持った原体験などあれば聞きたいです!
祖父からの影響が大きいかと思います。私の祖父は民生児童委員をしていて、たくさんの人に頼られる人でした。人と関わり誰かの役に立っている祖父を子どもの頃から見てきて、いつからか自分もこうありたいと思うようになりました。また、自分自身が4人兄弟の長女だったので、下の兄弟に勉強を教えたり一緒に遊んだりする時間が好きだったことも理由の1つですかね。
子どもが好きなんです。
今も昔も「子どものためになることをしたい」という気持ちは変わっていません。
人と関わることに価値がある
—— 編集部 - 「子どものためになることをしたい」ですか。何やら並々ならぬ想いを感じます。しかし岡田さんの経歴を見ると、子どもと直接関わる職種に就いていないような…。教育免許も取得しているのに、教師にならなかった理由について聞いてもいいでしょうか?
ええと…実は、教師になろうと思ったことはないんです。
—— 編集部 - なんと!初めから教師になるつもりはなかったと!?ではなぜ教育免許を…
この国の教育について知りたかったんですよね。
子どもが夢を持つことや何かしたいと自己表現する時って、まず大きく影響するのが「教育」なんじゃないかって考えていて、実際に子どもが将来を選択する教育の構造…というか仕組みをしっかりと知りたいと思ったんです。日本の教育を本格的に学ぶには、教育免許を取るというルートが大半で、結果的に教育免許を取るまでに至ったって感じです。
また、教育について知識を深めて行く中で、子どものために自分ができることは、直接子どもと関わること以外にもあるのではないかと考えるようになりました。
—— 編集部 - なるほど、そういった理由が。直接関わることではないと思ったきっかけを知りたいです。
児童虐待についての講義を受けて、幼稚園や保育園ではカバーしきれないこと、そして虐待を防止するためには、子どもを取り巻く家庭・夫婦関係へのケアも必要だと強く感じました。
その考えもあって、子どもに関わる人達へ関われるように大学は教育とともに心理学も学べるところに進み、大学卒業後は結婚相談所に就職しました。
—— 編集部 - 結婚相談所に就職ですか、思った以上に間接的かも?今まで岡田さんが学んでいた教育や福祉の分野から結構離れた印象がありますが、そこにもなにか考えがあったのでしょうか?
あえて教育や福祉の界隈から離れたかったという気持ちがありました。
福祉教育関係分野の学生って、結構考え方とか価値観が近い人が多いんですよね。私は高校の頃から保育・教育や福祉関係の界隈に身を置いてきたので、価値観や視野がその界隈ならではのものに染まっている感覚がありました。
私はその状態に若干危機感を覚えて、自分が学んできた界隈とは別のところに身を置いてみようと結婚相談所に入職しました。
視野を狭めないためにも、いろんな人の考えを取り入れられるようにしておきたいんです。
—— 編集部 - 岡田さんは余暇に地域活動をされているとのことですが、こちらもご自身の視野を広げるためだったりするのでしょうか?
そうですね。そこだけじゃない価値観を自分は持ちたいし、知っておきたいという気持ちがあって地域活動などの人と関われる機会はつくるようにしています。
多分一番やってるのは『熊本暮らし人まつり みずあかり』っていう竹灯りのお祭り運営のボランティアですね。大学2年の頃に運営を経験してから、今でもずっと関わり続けています。
『熊本暮らしみずあかり』運営ボランティアの様子
—— 編集部 - ずっと関わっているということは…今年も?現在郡山(福島県)配属ですよね!?
はい!今年も運営として当日参加するために飛行機に乗って参加しています。
その他は『greenbird(グリーンバード)』というゴミ拾いボランティアに参加したり、熊本地震をきっかけに、2019年に『きっかけ食堂』の熊本拠点を自分で発足したりして、さまざまな方とお話をするきっかけづくりをしています。
『greenbird(グリーンバード)』ゴミ拾いボランティアの様子
『きっかけ食堂 熊本』福島県相馬市の団体とコラボ開催時の運営メンバー
—— 編集部 - 人と関わるための熱意がすごい!
私は常に自分自身に疑問を抱いていているところがあるのですが、他の人の考えや価値観は信じられるし揺さぶられるんです。
人によっては本で学んだりとか、ドラマや映画など作品で学んだりすることもあるかなと思うんですけど、私は生身で直接会った人たちから学ぶことが多いんですよね。
誰もが「やってみたい」を叶えることができて選択肢にアクセスできる社会
—— 編集部 - 岡田さんが「子どものためになることをしたい」と子どもに焦点を当てているのはなぜなのでしょうか?想いについて具体的にお聞きしたいです!
子どもが好きだからという想いもあるんですけど、
なんでしょう…大人の都合で子どもの夢がつぶされてしまう構造に違和感があったんです。
小さい頃ってみんな「○○になりたい!!」っていろいろと夢を見るじゃないですか。でも、それを大人から否定されたり、家庭環境によってそれが成し得なかったりする現実があることが、私は変だと感じました。
誰にでも夢を持つ権利があっていいはずなのに、その権利が保証されないのは変だなと…。
誰もが「やってみたい」を叶えることができて、選択肢にアクセスできる社会であってほしい。
そんな願いをずっと持ち続けています。
スクエアの理念でもこういった考えを掲げているんですよね。
【私たちの理念】
仲間の幸せをチームで追い求め、諦めない一歩を踏み出せる社会を創る
私たちソーシャルデザインワークスは、仲間同士が感謝しあい、お互いの幸せを追い求め、協力しあう風土と、多様な考え、様々な生き方や働き方を尊重しあい、応援しあう文化を醸成していくチームであり続けます。その中で、20年後の未来・社会に向けて、人・街・文化に対する様々な社会貢献活動をしていきます。私たちが全国の拠点で諦めずに行動していくことが地域の人たちの勇気となり、それが多くの人たちの人生の豊かさに繋がるような諦めない一歩を踏み出せる社会を創っていきます。
この考えに共感して、スクエアへの転職を決めました。
私自身の「やってみたい」がこの法人にあると思い、挑戦する気持ちでスクエアに応募したことを覚えています。
—— 編集部 - そういった経緯があったんですね!普段スクエアでの支援でご利用メンバーさんの「やってみたい」を聞いて、その計画・目標をたてることがあると思いますが、そういった際大切にしていることはありますか?
その人が発する言葉についてはすごく大切にしていますね。
この人はこういった単語を使ったほうが伝わるかもな、とか
この人は文章の最後には句読点を入れている、とか
ご利用メンバーさんが普段使う言葉や文章の書き方など、本人の要素をしっかりと把握した上で、今後のことや支援の計画を伝えることを意識しています。
—— 編集部 - 文章の書き方まで見てるんですか!?
目標達成、成功のイメージを膨らませるサポートができたらと思うんです。
ちょっと気にし過ぎじゃない?ってぐらいこだわっちゃってますね(笑)
いかにその人が入りやすい、行動に起こしやすい状態にするかが重要だと思います。
ご本人だけが頑張るのではなく、ご本人に関わる環境への工夫も必要なんです。
—— 編集部 - 子どもを取り巻く家庭・夫婦関係の課題と、ご利用メンバーさんの環境の工夫について、どこか共通した考えのように感じます。
そうですね。個人だけでなく環境への働きかけ、また社会への働きかけというのは私がずっとやっていきたいところです。スクエアを通してそういった動きを積極的にできるといいなと思っています。
スクエアの法人の特徴で魅力的なところなのですが、『ごちゃまぜ』と題して、地域のさまざまな人が混ざってイベントを開催したり、地域のイベントに参加することがあるんです。
【ごちゃまぜ】
障害の有無、国籍、年齢、性別、文化など異なる人が存在する社会を楽しむための自然な機会を「ごちゃまぜ®」と題し、自分たちがやりたいと思え、みんなで楽しめるまちづくり企画を地域の中で運営しています。その地域にとって大事なことをその地域の人たちと共創しています。
障害福祉だからといって社会から切り離されるのではなく、お互い難しいことやでできることを見つけて工夫する。グラテーションのように緩やかにみんな混じり合った関係性ってすごく素敵だなって感じました。このグラデーションを更に広げられるように、支援も地域活動も楽しんで暮らしたいですね。
岡田 みずほ(おかだ・みずほ)
SOCIALSQUARE 郡山店
特別支援学校教諭一種/認定心理士/スクエアクルー
長崎県佐世保市出身、進学を機に熊本県へ移住。学生時代は心理学や教育、保育福祉を専攻し、余暇は地域活動に出向く。子どもを取り巻く家庭・夫婦関係の課題に関心を持ち、大学卒業後は結婚相談所で約3年勤務。法人の想い・ビジョンに共感し、2022年にソーシャルデザインワークスへ入職。きっかけ食堂熊本 発起人、熊本暮らし人まつりみずあかり・greenbird熊本チーム運営。