今よりちょっと優しい世の中

ソーシャルスクエア内郷店のスクエアクルー東條 彩をご紹介。福島県いわき市出身、東北福祉大学卒業し福祉の仕事を続けている。福祉施設で働いていた母の影響で、幼い頃から福祉と関わる環境で育った彼女にとって今の世の中はどう見えるのか。彼女の想いと願う社会についてインタビュー。

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東條 彩(とうじょう・あや)

SOCIALSQUARE 内郷店スクエアクルー/社会福祉士/保育士

ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。

ソーシャルスクエア内郷店のスクエアクルー東條 彩をご紹介。福島県いわき市出身、東北福祉大学卒業し福祉の仕事を続けている。福祉施設で働いていた母の影響で、幼い頃から福祉と関わる環境で育った彼女にとって今の世の中はどう見えるのか。彼女の想いと願う社会についてインタビュー。

※掲載内容は取材当時のものです

家族と一緒に『協力隊』

—— 編集部 - 東條さんは内郷店でパートで支援員をされているそうですね。

はい、今は火・水・金、週3で1日3.5〜5.45時間勤務という形態で、パートで働かせていただいてます。
主に自立訓練(生活訓練)のご利用メンバーさんの支援を担当しています。

—— 編集部 - 個人的なイメージではパートで支援って業務量的にも大変な印象があるのですが、実際のところどうなのでしょう?

んー…いや!普段から困ったらすぐ周りのクルーに「助けてくださ~い!」ってヘルプしちゃうので、大変なことは特に…
あ、でも…支援に関係ないんですが、スクエアに入職してからどうしようかなーって悩んだことなら1つあります。あの時あのまま一人で悩んでいたら今私はここで働いてなかったんじゃないかと思いますね。

—— 編集部 - 一体何があったんですか??気になります!

というのも、もともと私はスクエアではフルタイムで働かせていただいてたんです。
でもある時、自分の子どもが病気を患ってしまって…スクエアを辞めないといけないかなって悩んだ時がありました。

でも、そのことを自分の母に相談したら
「別に辞めなくてもいいんじゃない?」
家族のことなんだから、家族で協力すればなんとかなるよって言ってもらえたんです。

母はもともと福祉施設で働いていたこともあって、私のスクエアでの仕事についても理解が深く、私がスクエアで働き続ける方法についてたくさん考えてくれました。母以外にも叔母や祖母にも家事・育児を協力してもらうことも増え、家族全体で協力するようになったんです。

今では『協力隊』って名前の家族のLINEグループができてます。
あの時母に相談して本当によかったなって思います。

東條さんのご家族|マタニティペイントしてもらった時の写真。ペインターの姉(左)と母(右)

世の中にはいろんな人がいる

—— 編集部 - 『協力隊』!!すごくいいですね!東條さんが福祉の仕事をしているのは、そんな素敵なお母様からの影響なのでしょうか?

憧れていた部分はあったと思います。母が福祉施設で働く姿が太陽みたいで明るくて、小さい頃の将来の夢もずっと「福祉の仕事をする」と言っていました。
でも、福祉の業界に入るぞって明確に決めたのは高校生になってからでした。

—— 編集部 - 高校で福祉への道に進もうと思ったきっかけがあったんですね。

はい。高校に入って、バス登校をするようになった時の話なんですけど、バスに乗車したとき、ブツブツひとりごとをつぶやいている人がいたんです。私はそのまま乗っていたんですが、後ろに並んでいた女子高生の子達が「ちょっと別の席いこう」ってヒソヒソ話しながら、その人から離れた席に移動してて

…その時すごくモヤっとした気持ちになったんです。

—— 編集部 - 確かに気持ちの良いものではないですね…

あの子達の行動もわからなくもないんですけどね。私は小さい頃から障害のある方と関わる機会があったので、特に何とも思わなかったんですけど、きっとあの子達にはその人についてなにもわからなくて怖かった。だから、その人のことを遠ざけたんだろうなって…今思えば、何か理由があったのかもしれません

でも、その場面を目の当たりにした私は、少し…いや、かなり寂しい気持ちになったんです。自分が思っているよりも、社会は障害がある方に対してマイナスな感情を抱いているという現実にショックを受けました。

私はこれまで障害のある方に対して特別何かを思うこともありませんでした。でも、世の中はそうでもなかったんですね。そういうことを知ってから、もっと優しい世の中になってほしいなって思うようになり、福祉の道を本格的に目指すことにしたんです。

「いいんですよー」って言い続ける

—— 編集部 - 優しい世の中にするためには具体的にどうしたらいいんでしょう。

あまり難しいことを考えるのは得意じゃないんですけど、障害がある人もない人も「世の中にはいろんな人がいる」ってみんなが認めあえるようになれたら自然と世の中は優しくなっていくのかなって思ってます。

その第一歩として、ご利用メンバーさんを支援をする時私は
「いいんですよー」って伝えるようにしています。

—— 編集部 -「いいんですよー」ですか??

外に出れない、人と話せない、感情をコントロールできない…そうやって自分ができないことを見つめ続けて押し潰されそうになっている人が、本当に潰れちゃわないように。
オッケー、全然大丈夫!生きてることだけでもすごいし、すばらしいことで、素敵なことだー!って意味で「いいんですよー」と言い続けるんです。

みんな絶対強みを持ってるから。私はそれを見つけて、伝えまくって、ご利用メンバーさん自身もちょっとでいいので「いいのかも?」って思ってもらえるようにできたらなって。

—— 編集部 - 東條さんとお話を聞いているとやわらかい何かに包まれているような…あたたかい気持ちになります。

もっと世の中やわやわでいいと思います。
障害とか病気とか、仕事に育児に介護…みんなどこかでなにかしら悩んでるし抱え込んじゃうけれど、今の世の中がちょっとでもやわらかいものになって、みんながちょっと優しくなっていったら…
社会のいろいろなところで、私の家族みたいな『協力隊』ができるんじゃないかと思うんです。

—— 編集部 - みんなで協力隊!そのためにはもっといろんな人とのつながりが必要そうですね。

そうなんですよ。だから、今後は街づくりの部分を頑張りたいなって考えています。
例えば赤ちゃんの夜泣きの時にみんなでちょっと過ごそうぜっ!みたいな夜泣きカフェとか、
国から認定が下りるまでの緊急的な介護が必要な人のために協力できる場所とか。

公的サービスよりも気軽に集まれて、そこでみんなで「いいんですよー」ってお互い協力できるようなつながりをつくっていきたいと思います。最近そういうアイデアがたくさん浮かんでくるんです!でも、今のところアイデアで留めてしまっているので、今後は実現できるように動いていきたいですね。

今よりちょっと優しい世の中になってほしい。
そう願ってこれからも支援とつながりづくり、頑張っていきたいです。

PROFILE
東條 彩
東條 彩

東條 彩(とうじょう・あや)
SOCIALSQUARE 内郷店
スクエアクルー/社会福祉士/保育士

1996年生まれ。福島県いわき市出身。東北福祉大学卒業。
福祉施設で働いていた母の影響もあり、幼い頃から福祉と関わりがある環境で育つ。
〝ごちゃまぜ〟を広めていきたいとの想いから、2023年4月ソーシャルデザインワークスへ入職。

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