夢を語れる地域をつくる
1995年生まれ。福島県出身。県内の高校を卒業後、介護・福祉業界にて介護士として5年勤務。その後、営業や配達業を経験するが、やはり福祉を必要とする人の声を聴き地域に繋げたいと思いソーシャルデザインワークスに入職。彼の業務や仕事観についてインタビューをしました。
生天目 公生(なまため こうき)
SOCIALSQUARE内郷店スクエアクルー
ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。
1995年生まれ。福島県出身。県内の高校を卒業後、介護・福祉業界にて介護士として5年勤務。その後、営業や配達業を経験するが、やはり福祉を必要とする人の声を聴き地域に繋げたいと思いソーシャルデザインワークスに入職。彼の業務や仕事観についてインタビューをしました。
※掲載内容は取材当時のものです
自分にできることを探す
—— 編集部 - 生天目さんは内郷店で就労移行の支援を担当されてる他に、営業や広報関連の業務もされているそうですね。
はい!福祉サービスって世の中ではあまり知られてないものなので、少しでもみなさんが福祉サービスについてイメージがしやすいような活動をさせてもらっています。
SNSでその日に実施したカリキュラムの紹介をして、内郷店の普段の様子などを投稿させていただいたり。
ソーシャルスクエア内郷店Xアカウント▶https://x.com/SOCIALSQUARE01
あとは外に出て、医療機関や障害者雇用を検討している企業様などに営業っぽいことをさせていただいたりもしていますね。
—— 編集部 - 支援の業務もあるのに、結構いろいろしている!「営業っぽいこと」というと…具体的にどんな感じのことをするんでしょう?
外部の機関や企業様に伺って、そこで困ってることや課題みたいなところをヒアリングしています。その解決策として『就労移行だったら・スクエアだったらできること』をお伝えして、福祉サービスとしてこちらが先方に貢献できることをご説明させてもらっています。
—— 編集部 - おおー、相手方の困り感を聞いて、解決策を提案してみるという点は支援の業務とちょっと似ていますね
そうかもしれません。福祉サービスや福祉についてわからないことが多く、自分達では手がつけられないと悩まれている機関は多数あるので、スクエアの提供しているサービスや活動がその解決の鍵になれたらいいなと思ってお話させていただいてます。
自分はもともと医療機関に特化した人材派遣の営業をしていたので、スクエアに入職したらこの経験を活かしたいと思っていたので、ちゃんと活かせる動きができて良かったと思っています。
—— 編集部 - 前職の経験を活かしてたんですね。プロフィールからの情報では生天目さんは介護の仕事もされていたとか。
そうですね。高校を出て介護士として特別養護老人ホームで5年間働いてました。また、介護福祉士としても働く機会もあって、医療と福祉の業界に身を置いていたんです。
現場で働いて実感したんですけど、医療・福祉業界って全然人が足りてないんですよね。人材関係で改善できることはないかと思って、医療と福祉に特化した人材派遣の会社に転職したんです。
「自分にできることは何か」
いつもそんなことを考えて働かせてもらっています。
人のために生きたい
—— 編集部 - お話を聞く限り、周りの状況をよく見ているんだろうなって印象を抱きました。実際、職場で課題を見つけたとしても「しょうがない」で済ませてしまう人が多い中、行動に移せる生天目さんは本当にすごいと思います。
昔から自分に自信がないというか、子供の頃から周りと自分を比べることが多かったんです。でも「自分ってそういうものだし、しょうがない」ってなるより、「どうすれば自分は周りに勝てるのか…」って考えるくらいには負けん気がある性格でして…周囲がまだできてないことや自分ならカバーできることを考える癖みたいなのがあるんだと思います。
—— 編集部 - なるほど…諦めない心ですね。
はい、何事も諦めたくはないですね。
これは僕個人が目標にしていることの一つなんですけど
「夢を語れる地域にしていきたい」というのがあるんです。
みんながみんな自分の夢を語って、それを結びつけられるような地域にしていきたい。それを叶えるために外部への営業に行っているといってもいいのかもしれません。
—— 編集部 - 「夢を語れる地域」にするために営業活動が関わってくるんですか?
できないこととか、何かを諦めてしまう事象って、個人だけの問題ではないと思うんです。
例えば「障害のある方がなかなか就職できない」って事象があるとして、そのできない理由の中には「地域や企業が障害のある方を受け入れようとしてないから」という、周囲の価値観みたいなところもあるんじゃないかって。
地域の障害のある方に対する価値観を変えていきたいんです。地域が、あるいは社会が障害のある方を受け入れて、みんながやりたいことをやれるように。
そうなれば、障害のある方々がなんの妥協もなく夢を語れる未来ができるはずなので。そんな考えもあって、僕は営業というかたちでみなさんに障害のある人の働き方について知ってもらう動きをしています。
—— 編集部 - 熱い想いを教えていただきありがとうございます。生天目さんって他者への思いやりが深いと言いますか…ちょっと聞きたいんですが、なぜそんなに人のために動けるんですか?
スクエアの最終面接の時に代表の北山さんにも同じことを聞かれました。その時と同じ回答になるんですけど、恐らく自分の名前が由来してきているのかと。
僕の下の名前の「公生」って「公(おおやけ)」に「生(いきる)」って書くんですけど、親から聞いた話だと「人のために生きてほしい」ってことで名付けられたらしいんです。
中学生くらいに聞いた時は何だそれ…って思っていたんです。でも、東日本大震災で自分の地域が大きく被害を受けて、いろいろ考える機会があって
「自分は人のために生きないと」って思いました。
そう思ったのが高校の時で、これをきっかけに人を助けることができる介護士を目指し始めました。
名前に込められた願いみたいなのが自分の中に刻まれたというか。今となっては人のためになることをするのが1番しっくりきているんです。
失敗できるところが、就労移行の良いところ
—— 編集部 - スクエアで働いて苦労したことや大変だったことについて聞けたらと思います。
そうですね。やはりご利用メンバーさんひとりひとりの特性を見極めながら、就職に結びつけるというのはすごく難しいなと感じました。元々介護士として働いていたので、人をサポートすることには慣れていたつもりだったんですが…介護と就労移行の支援は180度違いましたね。
—— 編集部 - 具体的にどのようなところが?
介護の場合、ご高齢の支援サポートですので……こう、なんといいますか、終末期を迎えている方々に向けてADL(日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作)を維持するためのサポートなんですよね。
替わって就労移行支援のご利用メンバーさんは、これからを生きる方々ですので。その人の特性だったらどこを伸ばせるのか、どういうところに配慮を求めるのか。ご本人にレベルアップをしていただくための支援が重要になります。そこが大きな違いかなって。
—— 編集部 - レベルアップ!たしかに変わりたいと思ってサービスをご利用していただいているからにはそういった支援が求められるのかも…
あとは営業活動では、スクエアとして自分たちがしていることを営業先にご説明するというのも結構大変だった記憶があります。僕自身も福祉サービスについてはスクエアに入る前はそこまで詳しくなかったので。それを他者に説明するとなると、あらゆる関係機関がどういった役割を持っているのかとか、自分達にできるサポートの細分化とかいろいろしましたね。
でも、そのおかげで僕自身がスクエアでやれることが見つけられた感じがします。
—— 編集部 - 発揮されてますね、自分にカバーできることを考える癖が、
負けず嫌いですから(笑)
実際、内郷店の支援クルーはみなさんプロなので、最近入ったばかりの僕は支援では負けてしまいます。でもその代わり営業の経験はしてきたので、ここは絶対誰にも負けないくらい頑張ろうって思ったんです。
最近は支援や営業のために「心理カウンセラー」とか「子ども発達障害アドバイザー」っていう資格が取れるように勉強も始めてます。
—— 編集部 - 後者は初耳の資格ですね。どんな資格なんですか?
「子ども発達障害アドバイザー」はその名の通りなんですが、子どもの発達に関する理解を深めて、それぞれの成長に適したサポートを行えるように知識を深める資格ですね。
僕たちがしている福祉サービスって18歳の方から利用が可能なサービスじゃないですか。でもやっぱり、もっと若い頃から障害のあることに悩みを持たれている方々もいらっしゃると思うんです。なのでその層にもしっかりアプローチをかけたいなって。
そのために学校や親御さんにアピールを!って思ったんですけど…まず自分は子どもの障害についてよく知らないんじゃないか?ってなってこの資格をとろうと思いました。今後学校にアプローチできたら、小中高生のみなさんが大人になって障害で悩まれた際「スクエアってところあったな…」って思い出して頼ってもらえるかもしれませんからね。
自分の目標の2つ目になるんですが、スクエアが障害のある方々のセーフティーネットみたいな役割になれたらいいなと思っていて。こちらの面でもいろいろ自由に動かせていただいています。
—— 編集部 - はあーー…すごい。なんだか生天目さんの向上心の高さにため息がでてきました。
思い立ったら行動しちゃうんですよね。失敗してもいいから自分の納得がいくまでやろうって、生活でも仕事でもトライ&エラーを意識してます。
いろいろと挑戦して、失敗して、最後に成功すればラッキーぐらいの感じで飛び込んでいます。本当に挑戦っていくらでもしていいものだと思いますよ。
—— 編集部 - スクエアのご利用メンバーさんも、生天目さんのように挑戦することに積極的になってくれたら嬉しいですね。
そうですね。支援ではご利用メンバーさんにはいつも
「失敗できる時に失敗して、少しずつ成長していけばいいんだよ」
とお話させていただいてます。失敗できるところが、就労移行支援の良いところだと思うので。
ご利用メンバーさんの中には自分で自分の限界を決めてしまう方もいらっしゃるんです。
「自分には障害があるから」
「どうせここまでしかできない」
って始めから諦めてしまう人もいて、支援していると「そんなことはないのに」と感じる場面は多々あります。自分のやりたいことや、したいことを諦めてほしくないって僕は思います。
自分を否定する声に負けないでほしい。
否定の声は「夢を語れる地域」を目指す僕がどんどん減らしていきます!支援でサポートもしますし、相談だっていつでも乗ります。なので、もしみなさんにやりたいことがあるのならば、諦めずに挑戦していってくれたら嬉しいですね。