納得できる選択を
1980年生まれ。秋田県秋田市出身。大学卒業後は秋田市内の医療法人に入職し、精神科病院の医療相談室や関連施設においてソーシャルワーカーとして勤務する。その後、とある理由から長年働いていた職場から離れスクエアに転職。彼女が転職した時の考え、支援の想いについて徹底インタビュー。
安部 みず穂(あべ・みずほ)
SOCIALSQUARE 秋田山王店サービス管理責任者/社会福祉士/精神保健福祉士
ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。
1980年生まれ。秋田県秋田市出身。大学卒業後は秋田市内の医療法人に入職し、精神科病院の医療相談室や関連施設においてソーシャルワーカーとして勤務する。その後、とある理由から長年働いていた職場から離れスクエアに転職。彼女が転職した時の考え、支援の想いについて徹底インタビュー。
※掲載内容は取材当時のものです
ご本人の想いに向き合いたい
—— 編集部 - 安部さんは大学から福祉の勉強をされて、スクエアに転職される前の職場でも福祉の仕事をされていたとのことですが、どういったきっかけがあって福祉の道を選ばれたのでしょうか?
実のところ、私にとっての福祉の道は失敗から始まったものでした。
高校生の時の私は「姉が教育学部に行ってたから」という安易な考えで教育学部に行こうとしていたんです。でも結局、上手くいかず…併願で受けていた福祉系の大学に行くことになりました。だから私の場合、他のスクエアクルーのように熱い想いを抱いて福祉の道を選択したわけではなくて、流れに任せていたら福祉を選ぶことになったという感じなんです。

—— 編集部 - そうだったんですか。でも、今でも福祉の仕事をずっと続けられてるってことは、どこかで福祉にハマる瞬間があったのでは?
そうですね。大学から福祉のことを徐々に知っていくにつれて「福祉、結構面白いぞ」って気づき始めて…あとは、4年生の時に行った実習先の先生との出会いが私の中ではかなり大きかったと思います。
—— 編集部 - どのような先生だったんですか?
人情深くて、柔軟な考え方をされる方で、人間的にすごく尊敬できる方でした。
相手の人生に寄り添う支援をされる先生の姿を見て「自分もこういった人になりたい、この先生のような支援をしたい」と考えるようになって、このまま福祉の道に進もうと思ったんです。
—— 編集部 - 安部さん自らの考えで、福祉を選ぶことになったきっかけの方なんですね!そういった尊敬する人、目指す支援のかたちがある中で、安部さんが支援をする上で心がけていることがあれば詳しく聞きたいです。
大学を卒業した後、私は20年くらい精神科病院でソーシャルワーカーとして働いてきたんですが、その時からご本人の想いに向き合いたいという想いはずっとありますね。なので、ご本人が自分で本当に“納得できる”選択をしていただいているかを常に考えるようにしています。
長い間、いろんな病気や障害のある方を支援する仕事をしてきましたが、患者さんの中には様々な事情で自分で選択することが難しかったり、選択したくても自分ではどうしようもできない壁があったりする場面もあり…やはり、そういった状況は自分としてもすごくやるせない気持ちになるんです。
だから、少しでもご本人が願う道に進める可能性があるのならば、諦めずにしっかりとその道に進み切れるように後押ししたいと考えています。
スクエアにきてからもこの想いは変わらずあって、むしろスクエアにきてから、より想いは強くなっていってますね。

ポジティブな転職
—— 編集部 - スクエアにきてから強くなった想いですか…そういえば、安部さんはどういった理由でスクエアに転職されたのでしょうか?
転職の理由としては、私も自分が“納得できる”選択をしたいと思ったから…ですかね。
障害をもつ息子の通学支援のため、勤務時間を見直す必要が生じたことが転職を考えるきっかけになりました。
ただ、転職をするにしても、できる限りポジティブなものにしたいという気持ちがあったのを覚えています。
—— 編集部 - ポジティブな転職、ですか?
転職先を考えてる際「お母さんだから子どもを優先に考えなきゃいけない」みたいな考えも浮かんでくるんです。でもこの考えって、子どもを理由に私自身が“納得できない”選択をしてしまうなって…。

相手に“納得できる”選択をしてもらいたいって支援の仕事をしてるのに、自分は“納得できない”選択をするのはおかしいと思って。そのことに気づいてから、ちゃんと自分が“納得できる”道を探そうと思ったんです。
「今働いてる病院と同じくらい…いやそれよりもっと魅力的で、自分がワクワクできる職場を見つけるぞー!」って意気込んで探してみたら、自分の考えと同じように、諦めないことを理念に持つスクエアに出会うことができました。
—— 編集部 - なるほど、ポジティブな転職ってそういうことだったんですね。
「息子のせいで辞める」のではなく、「息子のおかげで新しい選択ができた」と思える転職にしたいと思ったんです。実際、スクエアで働くことになってからは、育児と仕事の両立もしやすくなりましたし、仕事でもこれまで経験できなかったようなチャレンジもたくさんさせていただいて、息子には感謝の気持ちしかないです。
—— 編集部 - 素敵な考え方だと思います!
多分、息子にも今後自分で選択する時がくると思うんです。そういった時、母は自分が納得する選択をしていたって少しでも知ってくれてたら、本人も自身が納得する道に進みやすいかもしれませんし、納得する道を見つけていってもらえたら嬉しいですね。
人が好きだから
—— 編集部 - 安部さんがスクエアに転職されてから、チャレンジされたことについて聞きたいです。
チャレンジしたことというと…この前、異業種交流会という名の「餃子パーティー」イベントを開催しました。


—— 編集部 - 「餃子パーティー」いいですね!楽しそうー
最初はただ「餃子食べたいな」という願望から発展していったものなんです。でもそこから…
「スクエアで誰かと作って食べたら楽しそう」
「知らない人が集まって話すイベントにしてみたいなあ」
って軽い気持ちで、異業種交流会を開催してみたんですけど、20人くらい集まってくれてちょっと驚きました(笑)
—— 編集部 - 20人も…思いつきで結構な数の人が集まってますね!?
前の職場の同僚とか、スクエアの別イベントで知り合った方とか、ママ友とか…、私は結構いろんな方とすぐ連絡先交換しちゃうので、そのつながりから声をかけていったんです。そのつながりが連鎖した結果がこれで…はじめましての方も何人もいて楽しかったです。
県内の結構遠いところから参加してくださった方もいたみたいで、街づくりや居場所づくりとか、地域おこしをこれからやろう!って活気ある人が集まってくれて、すごく良い時間を過ごさせてもらったなって思います。


イベント自体は、みなさんとただ餃子を包んだり、活動紹介タイムみたいなのを設けたりした後、ゆるーく交流する感じの会だったんですけど、普段なかなか関わることない業種の方とのお話って面白くて刺激にもなるので、これは今後も定期的にやりたいと思い、すでに次回の交流会を画策中です。
—— 編集部 - おぉー、秋田山王店のクルーから「安部さんはコミュニティが本当に広くてすごい」という情報を入手してたので、こういうフットワークの軽さがコミュニティを広げる秘訣につながってるんだと納得です。
そんな情報を手に入れてたんですね(笑)
確かにフットワークは軽い方…というか単純に私自身が人が好きで、好奇心旺盛だから気になることがあればすぐ関わりに行っちゃうんです。
でもこうして私が自由に動けてるのは、スクエアの懐の広さのおかげだとも思ってます。餃子パーティーのようなコミュニティを築く活動だとか、普段の支援でも、制限なくアクションさせてくれるところはスクエアの魅力だと感じます。
—— 編集部 - 交流会の他にこれから新たにやっていきたいことはありますか?
そうですね。障害の有無にかかわらず、「働くこと」に悩む人の力になれたらと思っていて、キャリアコンサルタントの資格をとりたいなと思っています。
後は——…、異業種交流会の他に、福祉や医療の支援についてもっと熱く語れる場をつくりたいと思っています。気軽に相談できたり、情報交換できるような場があったらいいなと今準備中です。その他いろいろあるにはあるんですが、これ話していくとキリないかも…
—— 編集部 - すみません、気軽に聞いてみたら思いのほか、どんどん話題が出てきてびっくりしました。気になったんですが、安部さんのそういうチャレンジ欲の源って何なんでしょう?
やはり、みなさんに“納得できる”選択をしてもらえる支援をしたいという想いを叶えるために、人と向き合う機会をできる限り設けておきたい。というのが理由のひとつだと思いますが…自分の周りが活気に満ち溢れているから、それに触発されて自分は行動に移せている部分もあると思います。
—— 編集部 - 人がお好きというお話もありましたし、誰かと交流することが安部さんのやる気に火が付く感じなんですかね。
そうだと思います。この前「サビ管サミット」という各拠点のサービス管理責任者のクルーが集まって、みなさんと支援の考えや想いを共有する会があり、それに参加させていただいたんですけど、みなさんの熱い想いに触発されて今かなりやる気満々です!
このパワーを源に、全国的に広がりをみせ始めているスクエアの動きに合わせて、自分も担当する地域のニーズをしっかりキャッチして発信し、いろんな方々の声を聞けるよう動いていきたいと思います。

安部 みず穂(あべ みずほ)
SOCIALSQUARE 秋田山王店
サービス管理責任者/社会福祉士/精神保健福祉士
1980年生まれ。秋田県秋田市出身。大学卒業後は秋田市内の医療法人に入職。精神科病院の医療相談室や関連施設においてソーシャルワーカーとして勤務。
自分と家族のライフステージを考えて立ち止まった時、ソーシャルデザインワークスの理念に感銘を受けて2023年10月入職。
大切にしていることは、人との出会い、つながり。好奇心。