子どものように夢をみて

ソーシャルスクエア西宮店のスクエアクルー岩谷 大輝をご紹介。宮崎県都城市で生まれ奈良県生駒市で育つ。大学では、臨床心理学を専攻。障がいをもつ子どもたちの支援員や子どもたちが楽しみながら社会のことを学べる職業体験施設スタッフなど、子どもと関わる仕事を経験。そこでの障害福祉事業所を利用されていた方々との関わりをきっかけに就労支援のことを知り、就労継続支援A型事業所で経験を積んだのち、2023年6月にソーシャルデザインワークスに入職。彼が福祉に関わったきっかけ、そして想いとは。

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岩谷 大輝 (いわたに・ひろき)

SOCIALSQUARE西宮店スクエアクルー

ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。

ソーシャルスクエア西宮店のスクエアクルー岩谷 大輝をご紹介。宮崎県都城市で生まれ奈良県生駒市で育つ。大学では、臨床心理学を専攻。障がいをもつ子どもたちの支援員や子どもたちが楽しみながら社会のことを学べる職業体験施設スタッフなど、子どもと関わる仕事を経験。そこでの障害福祉事業所を利用されていた方々との関わりをきっかけに就労支援のことを知り、就労継続支援A型事業所で経験を積んだのち、2023年6月にソーシャルデザインワークスに入職。彼が福祉に関わったきっかけ、そして想いとは。

※掲載内容は取材当時のものです

自分の感情の仕組みを知りたかった

—— 編集部 - ソーシャルスクエア西宮店で自立訓練(生活訓練)の支援担当している岩谷さん。支援中はいつも笑顔で周りを盛り上げていく様子が、テーマパークの従業員さんみたいですごいなー!と思っています。岩谷さんは子どもの頃からそういった感じなんでしょうか?幼少期のお話とか聞きたいです。

幼少期は結構泣き虫でしたね。小学校の時とか毎日泣いてました。先生に注意受けたら泣いて、親に何か言われたら泣いて…ちょっとしたことで泣いてしまう子どもでした。

—— 編集部 - おお、意外です。

中学生になってからは、怒ることのほうが多かったかも…反抗期と言うんでしょうか?ある時クラスメイトから「そんないつまでも泣いてたらいじめられるよ」って言われてからかな。
変に動作しちゃって、喜怒哀楽の感情全部が「怒」に変換されてました。

—— 編集部 - おお??!もっと意外な情報がでてきた。そんなトゲトゲ時代が…

なんというか、自分の感情を上手く表現できなくて、自分の感情に結構振り回されてましたね結構しんどい時が続いていて、自分の考え方とか感情の仕組みが知りたいと思って、福祉系大学に行き心理学を勉強することにしたんです。

—— 編集部 - 自分の感情を知りたくて、心理学を…そうだったんですね。そんな岩谷さんが福祉の仕事をしようと思ったきっかけについて聞きたいです。

僕が福祉の業界に足を踏み入れようと思ったきっかけは2回あるんです。一つ目は大学時代。福祉系の大学に通ってたこともあり、経験として高齢者向けの施設やデイサービスでアルバイトをしていました。

バイト時代にはあまり良いエピソードがなくて、
「介護が上手くいかない」
「突然の出来事に辛い思いをした」
「役に立てないことがしんどい」
ネガティブな感情が多かったんです
そんな自分に、デイサービスの先輩職員からは「学童保育が向いてるんじゃないか」とかアドバイスいただいたりもしましたが、その時の自分にはもう福祉に熱意を向けることができなくなってました。

アルバイト経験から「自分には福祉の仕事は向いてない」と思い、結局大学卒業後に就職したところは福祉とは一切関係ない企業でした。でもその企業も長く働くことはできなくて…色々とアルバイトもしていましたが、いまいち自分にとって「やりがい」が見つけられずにいました。

そしてはじめて「やりがい」を感じた仕事が、子どもと関わる仕事だったんです。

—— 編集部 - すごい、デイサービスの先輩からのアドバイスは的確だったんですね。

そうなんですよね。子どもが職業体験できるアミューズメントパークに就職をして、結果的に約7年間も働いていました。振り返るとここまで働けたことに自分でも驚きです。

道のりが長かったんですが、ここからが福祉の業界に足を踏み入れようと思った2つ目のきっかけです。アミューズメントパークで働いている際、障害者雇用枠で採用された4人の方と出会いました。その方々はみんな就労移行支援サービスを利用していて、サービス利用当時のお話を聞いていくうちに、今まで抱いていたネガティブな福祉の印象がガラリと変わっていったんです。そうして、いつからかその仕事をやってみたいと思うようになりました。

—— 編集部 - 大学時代に苦い思いをしたのにですか?

不安はありました。バイトの件もそうですが、今まで「やりがい」と感じていた子どもと関わる仕事でもないので…でもそれ以上に「その人の可能性を活かして就職に繋げる」という就労移行支援の仕事にはとても魅力を感じたし、挑戦してみたいと思ったんです。

あと社交辞令だったのかもしれないけれど、障害者雇用枠で働かれていた方の1人に「岩谷さんは支援員や指導員に結構向いてるかも」といっていただけたのが、最後の一押しでしたね。

苦労と苦悩の末に見えた支援

—— 編集部 -勇気をもって福祉の業界に戻ってきて、最初は就労継続支援A型事業所の指導員として働いていたと思いますが、スクエアの支援クルーとして転職して、何か違いとかはありますか?

同じ福祉サービスでもやはり全然違いますね。前職の就労継続支援A型の指導員として学んできたことが、ここでは全く通用しないなと感じました。

それもあって入職して1年くらいは、苦悩と苦労の連続でした。

—— 編集部 - 支援で悩むことってたくさんありますからね。岩谷さんの場合どのようなことがあったのでしょう。

ご利用メンバーさんへの支援方法に結構悩んでいましたね。
感情を出し過ぎてしまうご利用メンバーさんに対して「○○したほうがいいんじゃないか」とその方の行動や言動に対して指摘した結果、解決せず逆に悪化させてしまったことがあったんです。

前職の就労継続支援A型の指導員の時は、目立った行動や言動に対して指摘することは珍しいことではなかったんです。でも、自分が行ったことは支援として「正解」なのかって、このことをきっかけにズルズルと悩んでしまって…一度スクエアクルーのみなさんに相談してみたことがあったんです。

みなさんからは
「反省や正解ばかりに目が行きがちだけど、ご利用メンバーさんの良いところを見て伸ばしていくことが大事だと思う。岩谷さんは、ご利用メンバーさんの良いところを見つけることが上手いので、注意や指摘ではなくて、岩谷さんだからできる支援や役割があるんじゃないか」
という声をもらって、ハッとしました。僕達の仕事はあくまで「支援」であって「指導」ではない。その人に寄り添っていくことが大事なんじゃないかと自分自身の支援を見直すことができたんです。

それから支援の方法や意識が変わっていきましたね。

—— 編集部 - なるほど。意識が変わってから岩谷さんは支援に対してどういったことを大切にするようになったのでしょうか?

そうですね。大まかに分けて3つあります。

1つは「相手のことを知りたいという姿勢を大切にすること」
ご利用メンバーさんがこれからどういったことをしていくのか考えるために、ただ話し合うだけじゃなくて、相手のことを知りたいっていう姿勢でいることは大切だなってつくづく思っています。

2つ目は「自分も一緒になって考え寄り添うこと」
さっきとなんか似たような話なんですけど、その人だけがしんどいことに向き合うよりも、寄り添い合うことって大事だなと思っています。「指導」ではなく「支援」って言われてから、今もずっと大切にしています。

最後の3つ目は「正解を探すのではなく、一緒に探し行程を楽しむこと」
入職直後は「楽しみながら学んでもらう」という教育とエンターテインメントを掛け合わせたエデュテイメントな考え方を大切にしていたのですが、こうして支援を続けてみると「学ぶ」とかはちょっと違ってて「支援」ってそれだけじゃないのかなって思いました。無理に正解を探そうとするよりも、自分自身や本人の生活が変わっていくのを一緒に楽しんでいってもらいたいと思ってます。
「エデュテイメントな考えを」って謡ってる自分のプロフィールの文章変えなきゃですね…

—— 編集部 - スクエアに転職してからもたくさんの悩みや価値観が生まれていったんですね。福祉の仕事について色んな思いがあったようですが、実際今の仕事についてはどう考えていますか?

めっちゃ楽しいなって思ってます。なんでしょうね…悩むこともあるんですけどその状況も楽しめるようになりました。

きっとそういう風に思えるようになれたのは、スクエアのおおらかさが関係してるのかなって思います。ご利用メンバーさんのやりたいことに対して積極的に実現しようとする姿勢だったり、クルーにとってやりたいこともやらせてもらえたりする現場なので。かなり自由に楽しんでますね。ここまでくると自分が色々と考えていた「福祉」カテゴリーで見えないというか。夢を実現するための環境みたいに思っています。

外出カリキュラムにて釣りをする様子

夢実現家になりたい

—— 編集部 - 岩谷さんはスクエアの支援クルーの仕事以外に、何か活動とかしているんですか?

地域活動とかそういった誇れるようなものはしてないんですが、趣味でゲーム大会の主催なんかをしていたりします。今だと月に1回くらいですかね。きっかけは高校の時にゲーム好きが集まる掲示板で募って、みたいな感じです。全盛期だとすごい大人数で実施してたんですが、いまは5人くらいの小規模になってしまいましたね。

—— 編集部 - 月1って結構な頻度ですね。確かゲームがお好きなんでしたっけ。

好きですね。自分の好きなことって結構子どもが好きそうなことが多いというか、考え方も子どもっぽいというか…自分が子どもと関わることが好きな理由は、自分は子どもと馬が合うからだと思っています。

密かに思っている夢の1つには、子どものための場所とかつくってみたいなって思ってます。

—— 編集部 - 子どものための場所というと?

子ども食堂とかですかね。でもただ子どもに食事を提供するところというよりも、その子達にとって夢みたいに楽しめる場所にしたくて。その子たちのやりたいと思うことや夢みたいなことを実現していきたいと思っていて…『夢実現家』になりたいんです。

子どものような自分なので、夢も子どもっぽいんですよね。

—— 編集部 - でも、楽しい夢ですね。

そうですね。やっぱりなんでも楽しむことが大事だと思います。楽しくないと辛いから。子どもに限らず楽しんで夢を語れる人を、僕は全力で応援したいし、実現するサポートもしたい。ご利用メンバーさんにもこれからやりたいこと、なりたいものを一緒に探して、楽しく夢を実現させていきたいですね。

PROFILE
岩谷 大輝
岩谷 大輝

岩谷 大輝 (いわたに・ひろき)
SOCIALSQUARE西宮店/スクエアクルー

1990年生まれ。宮崎県都城市で生まれ奈良県生駒市で育つ。大学では、臨床心理学を専攻する。
障がいをもつこどもたちの支援やこどもたちが楽しみながら社会のことを学べる職業体験施設など、こどもと関わる仕事を経験。そこで福祉事業所を利用されていた方々との関わりをきっかけに就労支援のことを知り、就労継続支援A型事業所に転職する。福祉の仕事の経験を経たのち、2023年6月にソーシャルデザインワークスに入職。
これまでに培ってきた「ホスピタリティ」や、教育とエンターテインメントを掛け合わせた「エデュテイメント」などを発揮し、ひとりひとりに寄り添いながら、楽しく人生を彩る手助けをすることが目標。

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