利用者様の声 Member's Voice|秋田山王店 Vol.1
Member’s Voiceは、ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉事業所(ソーシャルスクエア)を利用されて、就職をされた卒業生の声を紹介するコーナーです。スクエアでの活動や訓練を通して、学べたものや得られた気づ […]
Member's Voiceは、ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉事業所(ソーシャルスクエア)を利用されて、就職をされた卒業生の声を紹介するコーナーです。スクエアでの活動や訓練を通して、学べたものや得られた気づきを語っていただきました!お名前|Y・T
年 齢|40歳
ご病気/障害のご状況|自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)
就職先(仕事内容) |飲食店
勤務状況(週・時間)|シフト制
継続状況|1年
※情報は取材当時のものです
生きづらさからの転換点、障害と向き合った
—— 編集部 - 本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、Tさんの障害についてお聞かせいただけますか?
はい、現在診断されている障害は発達障害です。具体的には自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如多動症(ADHD)があり、過去には双極性障害とも診断されていました。
—— 編集部 - 診断が変わった経緯について、もう少し詳しく教えてください。
もともと私は大学生の頃にうつ病と診断されてて、社会人になってからうつの症状が悪化してしまい、その際に双極性障害と診断を受けました。
診断を受けてから仕事は休職させていただき、病院でリワークを受け復職を目指しましたが、産業医より復職できない状態と診断されました。休職期間満了に伴い、退職して地元の秋田に帰ることにしました。
その後、秋田で仕事をしても、睡眠の不安定さで仕事に影響が及ぶ時期がしばしばあり
「こうも安定しないのには理由があるんじゃないか」
と思って、30代半ばの頃に別の病院で発達障害の可能性を指摘され、改めて診断を受け直すことにしたんです。その結果、ASDとADHDと診断されました。
これをきっかけに、障害者手帳や障害者雇用、福祉サービスなど、障害のある人が受けられる支援や配慮の情報を得るようになり、自分の働き方について考えるようになりました。
相手の立場を考えた会話
—— 編集部 - ソーシャルスクエアを利用するようになった経緯を教えてください。
障害のある人が働き続けるための情報を集めてみたものの、これまで自分の障害を会社に開示せずに働いてきたため、自分の障害を開示した方法での就職や働き方について全然イメージがつかなかったんです。
だから「まずなにをどうすればいいのだろう?」と悩んでいたところ、病院からスクエアについて紹介してもらったんです。
試しにスクエアに行ってみると、個人面談をしていただき、これからについて今考えていることを整理する手伝いをしていただいたのですごく助かりましたね。
スクエアには福祉や支援の専門家が多数いらっしゃるそうなのですが、自分はそこに加えてクリエイティブな人が集まってると感じました。就職のみを目指しているというわけでもなく、自分にあった働き方を一緒に考えて柔軟な対応してくれそうなところが好印象に感じ、こちらの利用を決めました。
—— 編集部 - スクエアで過ごしていて印象に残っていることはありますか?
そうですね。自分自身の障害の特性を知識のみではなく、体感で理解できる機会を得られたことが非常によかったと思っています。
スクエアを利用している時、どうしてもストレスを強く感じてしまう波が大きく、体調が安定しないこともあったんです。でも、スクエアに通っていくうちに「どういった時に自分が落ち込んでしまったり、体調をくずしてしまうのか」がなんとなくわかってきて、ストレスと体調の調整ができるようになりました。
また、コミュニケーションのスキルの部分でも成長できたと思う部分もあります。
スクエアのプログラムではご利用メンバーさんと意見を交わす時間があるんですが『みんなで事務作業』というのカリキュラム中、とあるご利用メンバーさんに「Tさんは社会人としての経験があるからすぐに意見が浮かぶかもしれないけど、僕たちはそういう経験がないからすぐ意見がででこないんですよ」
と言われたことがあってハッとしたんです。
スクエアのご利用メンバーさんには、社会に出た経験のない方や障害の特性で「自分の考えを相手に伝えることが苦手」という人もいらっしゃるんですよね。自分と相手は経験も価値観も異なるということが頭から抜け落ちていたと言いますか…他者への配慮を考えずについ自分ばかり意見を出し続けてしまっていた事実に気づいた瞬間でした。私は人と話す際に『自分の話をし続けてしまう』という障害特性があるんですが、その特性が強く表に出てしまっていたんだと思います。
メンバーさんからの言葉をきっかけにもっと相手を尊重したコミュニケーションができるようになりたいと私は思いました。それから、プログラム中や何気ない会話でも「相手の立場を考えた会話」を常に意識するようになりましたね。
—— 編集部 - 体験することの大切さがわかるすごくいい話ですね。そういった経験を通してTさんは現在どういったお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?
現在は飲食店で働いています。自身の障害については勤務先に詳しく開示はしていません。
自分がどれだけ働きやすい環境をつくれるかが重要だとスクエアで学べたので、私の場合はすべて開示するよりも、自分について少しだけ知ってもらうほうが働きやすいと思い、今の勤務先には「持病がある」ということのみお伝えし、シフトに対して配慮をいただいています。
自分にとって無理のない範囲で働かせていただいているおかげで、以前よりも規則正しい生活を送れており、仕事と生活のバランスを保ちながら働けていると手応えを感じています。
今の自分が目標にしていることは「体調をしっかりと整え、より安定した状態で働き続ける」というもので、このバランスを継続して積み重ね、ゆくゆくはまたフルタイムのお仕事に就けるといいなと思っています。
秋田と地域貢献への思い
—— 編集部 - 現在の仕事以外に、挑戦してみたいことはありますか?
秋田のステージイベントの活性化に関わることができれば嬉しいです。これまで趣味でダンスやバンド活動などをやってきたのですが、そういった活動を通じて地域を盛り上げられたらと思っています。
—— 編集部 - 地域貢献への思いはどこから生まれたのでしょうか?
ソーシャルスクエアの代表と奥田さんのインタビュー記事で
「秋田の福祉業界全体のレベルを引き上げて、みんなで地域をつくっていきたい」
という話をしていて、その記事を読んだ私は地元である秋田にそんな熱い志をもってくれてありがたいなって感じたんです。
その言葉に惹かれて「みんなで地域をつくる」ということに対して自分も秋田県民の一員としてなにかしたいと思ったんです。
私が秋田県に戻ってきた当時、うつや障害に悩まされていました。また、自分の周りでも同じように悩んでいる友人たちもいたのを知っていたんです。でもその時の秋田にそういったことに対して頼れる場所は少なくて「秋田にもっと頼れる場所が増えたらいいのに」と想いを抱いていたのを覚えています。
でも、今の秋田にはスクエアがあります。
スクエアは自分のように障害や病気で困っている人に対して頼れる居場所をつくってくれました。そして、人とつながりを作る機会も与えてくれました。
ただ福祉サービスを提供するだけでなく、地域のお店や施設など幅広いコニュニティと共にイベントを定期的に開催してくれているんです。スクエアが秋田に出店してくれたおかげで最近の秋田は徐々に人とつながる社会がつくられてきていると感じます。
秋田全体が困っている人に対して助け合いができるような地域にしていけるように、地域の一員として、自分ができることをしていきたいです。
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ソーシャルスクエアが大切にしているのは、その人の特性にあった支援を行うこと。そしてそれをより実践に近い環境で行うことです。障害と一口にいっても、1人ひとり直面している問題は異なりますし、得意不得意があります。それを無理矢理に強制するのではなく、本人の特性にあった支援を探る。そのことで少しずつ自信がつき、自分でできることが増えていく。それが自立に繫がるのだと思います。
このコーナーでは、今後も、就労を決めた方や支援にあたるクルーの生の声を紹介していきます。スクエアでのカリキュラムをイメージして頂いたり、ここで働くことをイメージして頂いたり、気軽にお読み下さい。スクエアに興味を持って頂いた方は、ぜひご連絡下さい。見学などの案内をさせて頂きます。
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