利用者様の声 Member’s Voice|秋田山王店 Vol.2
Member’s Voiceは、ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉事業所(ソーシャルスクエア)を利用されて、就職をされた卒業生の声を紹介するコーナーです。スクエアでの活動や訓練を通して、学べたものや得られた気づ […]
Member's Voiceは、ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉事業所(ソーシャルスクエア)を利用されて、就職をされた卒業生の声を紹介するコーナーです。スクエアでの活動や訓練を通して、学べたものや得られた気づきを語っていただきました!
お名前|K.Sさん
年齢|24歳
ご病気/障害のご状況|ASD、ADHD
就職先(仕事内容)|レストラン補助業務、客室清掃
勤務状況|シフト制
継続状況|9か月
※情報は取材当時のものです
人との会話が苦手で「働くこと自体が不安だった」学生時代。そんなK.Sさんが、今はホテルでサービス業の仕事を続けています。最初は、スクエアで本を読んで過ごすだけの日々。そこから少しずつ、「自分にできること」を重ねながら、“自分に合う働き方”を見つけていきました。
利用当初は「本を読んで過ごすだけ」だった
—— 編集部 - Sさんの障害について、詳しく伺ってもよろしいでしょうか。
自閉症スペクトラムとADHDがあります。診断を受けたのは中学生の頃でした。
当時、グループ活動をすることに苦手意識があって、みんなが普通に話しているところで、自分がどのタイミングで話せばいいのか、何を言えばいいのかわからなかったんです。
また、初対面の人と話すことも苦手でした。
人とのコミュニケーションに不安があって、家族に自分のことを相談したところ病院に連れて行ってもらい自分の障害について知ることができました。
—— 編集部 - スクエアに通うようになった経緯もお聞きしてもいいですか?
はい。それからは投薬や通院を続けつつ、中学は卒業して、動物が好きという理由でトリマーの専門学校に行ってました。
その後、専門学校は卒業できたんですが、就職には苦戦しまして…当時コロナ禍で就職難だった時期でもあって、働き先があんまり見つからなかったんです。また、働くにしても自分の障害についてどう伝えたらいいのかと不安な部分もありました。
なので、そういう自分が就職の支援を受けられる場所、「就労移行事業所」を探すことにしたんです。自分の自宅から通いやすい事業所をいくつか見学していったところ、その中で一番雰囲気が明るくて良いなと感じたのがスクエアでした。
ご利用メンバーさんとスクエアのクルーが仲良く会話している様子が印象に残っていて「自分もあんな風に人と話せるようになれたら」と思い、スクエアの利用を決めました。
—— 編集部 - そうだったんですね!スクエアの利用を決めてからはどのように過ごされていたんですか?
利用したばかりの頃は本当に緊張していて…。クルーに話しかけられても、小さく「はい」と返すのが精一杯でした。ご利用メンバーさんに話しかけることもできず、本を読んでばかりで、コミュニケーションはほとんどできていませんでしたね。
—— 編集部 - 今回のインタビューですごく上手にお話してくださっているので、Sさんがコミュニケーションが苦手という話に少し驚いています。スクエア過ごした期間でコミュニケーション関連の訓練をされたのでしょうか?
自分の中では「訓練をしている」という感覚は、正直あまりありませんでした。
ただ、無理のないところから始められる“きっかけ”を、スクエアでもらえた、という感覚はあります。いきなり話し合いに参加するのではなく、『雑談』という、失敗しても大丈夫な場から始められたことが、自分にはとても大きかったです。
—— 編集部 - きっかけ、そのあたり詳しくお聞きしたいです!
スクエアに通い始めた頃「人との会話をもっと上手になれたら」と思っていたんです。でも、グループで何かをしたり、話し合いをしたりする“コミュニケーション特化”のカリキュラムには参加するのはちょっと怖くて…通い始めた頃は、そのあたりの参加は控えさせていただいてました。
そんな時に、クルーの方が勧めてくれたのが『雑談』カリキュラムでした。
『雑談』はその名の通り、ご利用メンバーさんと「話すだけ」の時間なのですが、そのゆるい雰囲気が当時の自分にはちょうどよくて。
「季節のイベントについて話そう」とか「○○といえば?」など、毎回ひとつテーマが決まっているので、話題に困ることもなく、安心して会話に参加できたのを覚えています。
参加を続けるうちに、自分の中でも会話の“引き出し”が増えていって
「こう聞かれたら、こう返したらいいんだな」
「この人の話をもっと聞きたい時は、こういう聞き方をすればいいんだな」
と少しずつ“会話のコツ”のようなものがつかめてきたんです。
—— 編集部 - なるほど!そうしてコミュニケーションスキルを磨いていったと。
スクエアに通ったおかげで、自分の中でのコミュニケーションのハードルはかなり下げられたと思います。
初めは本を読んで過ごしてばかりでしたが、『雑談』に参加したことをきっかけに、ご利用メンバーさんから話しかけてもらう機会が増えて…気づけば人と話す時間のほうが自然と多くなっていました。
ご利用メンバーさんと接する機会が増えていくと「この人たちが参加しているカリキュラムなら、自分も参加してみたい」と思えるようになり、参加の勇気が出なかったカリキュラムにも、少しずつ参加できるようになってましたね。
憧れの仕事
—— 編集部 - Sさんの現在のお仕事について教えてください。
現在はサービス業、ホテル従業員として働かせていただいています。
午前中はレストランで補助作業をして、午後は客室清掃の補助をしています。働き方はシフト制で、3〜4日連続で働いて1日休む、というリズムが多いです。
—— 編集部 - なぜ、お仕事にサービス業を選択されたんですか?
——実はサービス業にはずっと憧れがあったんです。
専門学校に通っていた頃、子ども向けイベントの手伝いでボランティアに参加したことがあって、その時に関わった皆さんから「ありがとう」と言ってもらえた瞬間の嬉しさが、強く残っていて、人と関わる仕事に惹かれていました。
「人から感謝の言葉をいただける仕事といえば、サービス業」だと考えていたんですが、自分の障害特性を知れば知るほど、自分がサービス業に就くのは難しいのかもしれないと、どこか諦めていた部分があったんです。
でも、スクエアに通うようになって、少しずつ人と接することに自信がついてきて、憧れていたサービス業への就職にチャレンジをしてみたいと思いました。

スクエアのクルーの協力のもと、サービス業の企業をいくつか見学したり、体験実習をさせてもらったりして…今働いているホテルでも体験実習をしたのですが、ここが一番自分に“合っている”という感覚がありました。
適度に人と接する機会があって、人から「ありがとう」と言ってもらえる場面もあるこの職場が、自分にとって理想的で、この仕事なら自分はやりがいを感じながら働ける——そう思えたんです。
—— 編集部 - Sさんにとってサービス業は憧れの業種だったんですね!そんな憧れの仕事に就いたSさん。今の仕事をする上で意識していることなどはありますか。
業務中とくに意識しているのは丁寧さでしょうか。
お客様が過ごされる空間なので、少しでも気持ちよく滞在していただけるように、確実で丁寧な仕事を心がけています。
もちろん、仕事をこなすスピードも大切なので、もっと早くできたらいいなと思うこともあります。けれど今の自分にとっては、急ぐことよりも一つひとつをきちんと仕上げることが何より大事だと感じていて、その姿勢を大切にしながら働いています。
—— 編集部 - 素敵な心掛けですね。そういった意識は一緒に働かれている方々に教えてもらったんでしょうか?
一緒に働いている方から教えていただいた心掛けでもあり、仕事をしていくうちにそれが本当に大事なことだと身に染みた考えでもあります。
イベントのある季節になるとお客様が多くいらっしゃるので、自分が働く現場は結構せわしなくなるんです。そういった時、現場の雰囲気にのまれて「早く仕事をこなさないと」と焦ってしまい、お皿を割ってしまったことがあって…。
—— 編集部 - 現場がバタついてると焦っちゃいますよね。
ですね。やはり自分がミスをしてしまうと、もっと焦ってしまいましたし。
こういった失敗経験を思いかえしてみると、自分のペースを保ち、落ち着いて丁寧に仕事に向き合うことってすごく大事だなと気づきました。
—— 編集部 - 働く中で見つけた気づきについて教えていただきありがとうございます。Sさんのお話は、きっと読者の皆さんにとって勇気づけられる内容だったと思います!そこで、今まさにご自身の障害に悩まれている方々へ、メッセージをいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
そうですね。まずは“できる範囲”でいいと思います。
「なにか頑張らないと!」と気負うよりも、「今日はここまでできたらOK」というくらいの心持ちでいられると、少し楽になるんじゃないかと感じています。
とはいえ、その“できる範囲”を自分で判断するのって、すごく難しいんですよね。僕の場合は、スクエアがそれを少しずつ“見える形”にしてくれたと思っています。
自分がどこまでできるのかがわかってくると、やりたいことや挑戦したいことも、自然と見えてくるはずです。
なので焦らずに、自分のペースで歩き続けること。
それだけでも、ちゃんと前に進めているんだと思います。

**********************
ソーシャルスクエアが大切にしているのは、その人の特性にあった支援を行うこと。そしてそれをより実践に近い環境で行うことです。障害と一口にいっても、1人ひとり直面している問題は異なりますし、得意不得意があります。それを無理矢理に強制するのではなく、本人の特性にあった支援を探る。そのことで少しずつ自信がつき、自分でできることが増えていく。それが自立に繫がるのだと思います。
このコーナーでは、今後も、就労を決めた方や支援にあたるクルーの生の声を紹介していきます。スクエアでのプログラムをイメージして頂いたり、ここで働くことをイメージして頂いたり、気軽にお読み下さい。スクエアに興味を持って頂いた方は、ぜひご連絡下さい。見学などの案内をさせて頂きます。

〒010-0951
秋田県秋田市山王6丁目2-16 アバンテ山王1F
TEL:090-8509-3151
MAIL:ss_akitasanno@sdws.jp