クルー研修レポート|高次脳機能障害について
クルー(支援員)も日々勉強!ということで、研修を行っています。質の高いサービスを皆様に提供するために、外部講師をお招きして専門性を高めたり、外部研修に参加したクルーから研修内容の共有を行ったりと、「クルー研修」を実施しています。各店舗で行っているクルー研修の様子をレポート!
2020年10月にSOCIALSQUARE いわき店で行われたクルー研修(内部研修)では、いわきにあります社団医療法人養生会 かしま病院 言語聴覚士としてリハビリに当たっている板
地域の健康課題と障害福祉
いわきは地域的に脳梗塞や脳卒中など、脳にまつわる病気からさまざまな障害になる方が多い地域でもあります。SOCIALSQUAREでも、そのようなかたちで高次脳機能障害や言語障害のある方々が社会復帰や復職、就職のために利用されるケースが多くありました。
病院でどのようなリハビリテーションが行われ、どのような状態でSOCIALSQUAREのような福祉へつながっていくのか、流れを知っていくために、板東先生が普段行っている言語聴覚士としてのリハビリテーションのお仕事をご紹介いただきます。
言語聴覚士のお仕事は「コミュニケーションと食べることを支える」こと。聞く・話す・食べるという社会生活において不可欠な部分の回復を担っているのが言語聴覚士のお仕事。患者さんと出会う時には、この「聞く・話す・食べる」ことが不便なゆえに、人と会いたくない、相談できない、閉じこもりがち、何もする気が出ないなど周辺状況が発生している状況でお会いするとのことでした。そこから、一体どこが原因なのか探っていくところからリハビリははじまります。
高次脳機能障害と失語症
脳の領域を横断的に使うような能力を「高次脳機能」といい、そこがうまく連携できない状況になることを「高次脳機能障害」といいます。特にこの障害になる方は、いままで普通に意識せずにできていたことができなくなってしまった、とがっかりされて無気力になる場合が多く、リハビリの場だけでなく、福祉サービスに移行してからもスモールステップをひとつづつクリアしていき、成功体験を積み重ねていくような支援が不可欠だとお話しされていました。
失語症はクルーにもあまり馴染みのない障害で、まずは症状を体感するところからご説明いただきました。「知ってるけど、名前が出てこない!」というモヤモヤが日常生活のあらゆる中で発生するような症状です。例えるならば「言葉の分からない国に、急に放り出されたような状態」。聞き取れない、話せない、読めない、書けない状況で「わかってもらえなかった」という経験だけが蓄積されていくようなもの。
そのような時には、言葉以外のコミュニケーションを使って「意思の疎通ができた!」という体験を増やしていくというアプローチを行うとコミュニケーションへのハードルは低くなっていき、意欲を守ることができると板東先生。
SOCIALSQUAREには場面緘黙の利用者さんも多く、声を出すことやコミュニケーション自体に後ろ向きな方々も多いので、言葉以外のコミュニケーションや多彩なコミュニケーションの方法を、カリキュラムの中でもっと工夫できるなどクルーからいろいろなアイディアや意見が出ていました。
他にも様々な高次脳機能障害の事例を学び、実際に板東先生がリハビリを行う時の心がけや、今日学んだことをクルーが支援にどう活かしていけるかなど、活発な意見交換ができました。
参加したクルーの感想
▼板東さんのお話を聞いて、
▼関係機関とはいえども、
▼言語聴覚士という仕事自体、あまり分かっていなかったので、とても勉強になりました。実際に起こっていることだけ見てもわからないことは多くて、専門的な知識を学ぶことの重要性に気づくことができました。専門的な知識を持つST(言語聴覚士)さんのような方と、実践の場であるスクエアが連携することが大事だと改めて感じたので、積極的に外部の方のお話を聞いていきたいと思います。
▼高次脳機能障害の診断を受けている方だけでなく、スクエアにも自信を失っているメンバーさんが多いと思います。心理的ピラミッドの例を参考に、支援員がしっかりとプランニングして、ご本人が達成する経験を獲得していくことが成長に繋がっていくのではないかと感じました。言語聴覚士についても、どういった視点でサポートしているのか知ることができて、積極的に連携していき、これからも他職種の視点やアプローチの仕方を学んでいきたいと思いました。
【クルー研修とは】
「就労移行支援」・「自立訓練(生活訓練)」・「就労定着支援」を提供する支援員(クルー)が、幅広く専門的な知識を以って業務にあたれるようにするためにあるものです。SOCIALSQUARE のクルーは色々なバックグラウンドを持ち、異業種から障害福祉の分野に携わることになった者も多く、研修の機会を通じて幅広く「障害」に対する知識を獲得していく必要があります。障害の種別や程度を問わない幅広い利用層を受け止め、社会と繋がる架け橋となるため、定期的に研修を行っています。また、地域の医療機関や関係機関とSOCIALSQUAREのクルーをつなぐ機会でもあり、研修的な側面だけでなく、社会資源の連携の場であるとも考えています。