ありのままの自分
1994年生まれ。福岡県豊前市出身。熊本県の大学で運動指導や健康とスポーツの関わりについて学ぶ。大学卒業後、スポーツクラブに就職し約6年勤務。幼少期からバレエをしており、熊本、福岡県で毎年1〜2回舞台に出演。彼女にとっての福祉、そして支援への想いについてインタビューをしました。
長野 有華(ながの・ゆか)
SOCIALSQUARE水前寺店スクエアクルー
ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。
1994年生まれ。福岡県豊前市出身。熊本県の大学で運動指導や健康とスポーツの関わりについて学ぶ。大学卒業後、スポーツクラブに就職し約6年勤務。幼少期からバレエをしており、熊本、福岡県で毎年1〜2回舞台に出演。彼女にとっての福祉、そして支援への想いについてインタビューをしました。
※掲載内容は取材当時のものです
夢への挑戦
—— 編集部 - 現在、スクエアの水前寺店で就労移行の支援クルーとして働かれている長野さん。前職は「福祉」とは違ったお仕事をされていたとか…どのようにしてスクエアに出会ったのか教えてください。
私は大学を出た後スポーツクラブのインストラクターになって、6年間そこで働かせていただいたんです。お仕事自体は楽しかったんですが、体力的にヘトヘトになってしまうことも多くて…今後のことを考えるとずっとこの仕事を続けるのは難しいかなと思って、転職を考えるようになったんです。
インストラクターになってから自分は人に教えることが好きってことに気づいて、それができそうな仕事を探していたらスクエアのHPにたどり着きました。
HPに書かれているスクエアの考え方は自分の価値観にすごく合っていたし、なによりも…HPに載せられていたスクエアの支援クルーのみなさんの雰囲気がめちゃくちゃ良かったものだから「この人達と働きたい!!」って思って応募することにしました。
—— 編集部 - 勢いがすごい!インストラクターになった時もそういった感じだったんでしょうか?
勢いで働き先を決めた部分は似てますが…スクエアへの応募の時より若干ネガティブだったかもしれませんね。
私は、子どもの頃からやりたい夢があったんです。
でもそれが叶えられなくて、インストラクターになる流れに…
—— 編集部 - なるほど…もしよかったら、その子どもの頃の夢について聞いてもいいですか?
私は子どもの頃からバレエをしてて、テーマパークのキャストさんとか「人前で表現する仕事」をしてみたいって思っていました。その想いから大学生の時に色々と行動して、動物園ショーのキャストさんとして採用が決まったんです。
—— 編集部 - お!「人前に立つ仕事」ですね…あれ?夢叶ってませんか??
いやーでも、ちょうどその頃に熊本地震が起きてしまって!採用された動物園の事情でそこで働けなくなってしまいました。
それで、急にやりたいことができない状況になり、どうしようか―…って悩んでいた時に、友達から「働いているジムの人手が足りてないからインストラクターとして働いてほしいと!」と声をかけられたって流れでした。惰性でインストラクターになったものの、案外お仕事は楽しくて、よかったことも多かったです。
でもやっぱり、「人前で表現する仕事」を諦められずにいたので、社会人になった後も某夢の国のオーディションを受けてみたりもしました…2次審査で落ちてしまいましたが。
—— 編集部 - 夢を諦めず挑戦し続けたんですね。
自分が納得するところまでやっておきたかったんですかね。
オーディションに落ちてしまった時も「私はこれに勇気を持って、自信を持ってやったんだ」という気持ちでどこか満足感がありました。こうやって挑戦したという事実だけでも自信に繋がるところはありますし。
自分がやりたいという気持ちに偽りなく向き合えたかというのは結構重要だと思います。
—— 編集部 - 今のお話で長野さんの覚悟みたいな部分が見えた気がします。そういったチャレンジ経験が新しい世界に入るまでの勢いのすごさに繋がるのかもですね。
障害がある人の世界
—— 編集部 - スクエアに入って初めて福祉の世界に触れたと思うのですが、感じたことがありましたら聞いてみたいです。
私はこれまで障害のある方と関わることがほとんどなかったので「障がいのある方=手助けが必要な人」というイメージがありました。なので、ご利用メンバーさんにどういった具合のサポ―トをするべきかを結構手探りでした。
ご利用メンバーさんと関わっていく内にわかってくるのですが、みなさん思っている以上に「できる」んですよ。例えば軽作業をしている時とか…ご利用メンバーさんの障害特性に合わせた環境や手段を行うとすごい速さで作業をこなす方もいらっしゃって、能力の高さに驚きました。
そういった光景を目の当たりにしてから、自分の中で「障害のある方」への印象は徐々に変化したように思います。
あと、スクエアに入職してから「手助け」についていろいろと考えられるようになりましたね。
私は路面電車で出勤しているんですけど、ヘルプマークを身につけていたり、障害者手帳を握っている方が車内にたくさんいて、すぐに席を譲ろうとしちゃうんです。
でもご利用メンバーさんから話を聞いてみると、意外とその気遣いがあることで複雑な気持ちになる方もいらっしゃるみたいで。
—— 編集部 - 複雑な気持ち、その話について詳しく聞きたいです。
障害特性的に「潔癖だから座れない」とか…
雨の日はみんな傘を持っていると思うんですけど、「座ると傘の水が足にかかるから座りたくない」とか。あとは「立っているほうが景色が見れるから好き」だとか…
他の場面でも、自身の障害を気にして気遣ってくれる人がいることで、それ自体は大変ありがたいものの
「自分は関わらない方がよかったのかな?」
「自分が関わると時間がかかって迷惑になるかな?」
とモヤモヤして自信がなくなっていくと話されている方もいらっしゃいました。
—— 編集部 - なるほど…周囲の人が気遣い過ぎるのは、負担になるケースもあるってことですね。
その話を聞いた時、ハッとしたといいますか…スクエアに入職しなかったら、障害のある方がどう思っているかなんて何にも気づけなかったと思います。福祉の世界に入ったことで、今まで思ってもみなかった発見が多くて楽しいですね。
—— 編集部 - 色々な発見があったなかで、長野さんがご利用メンバーさんを支援する際に大切にするようになったことってありますか?
やはり先の話を聞いてから気を付けるようになったのは、「障害がある方」という括りではなく、一人ひとりの障害特性や困りごとをしっかり聞き、サポートをするタイミングを見極めることを心がけるようになりましたね。
—— 編集部 - うーん、大事なことですね。障害のある方と関わりを持ってる方や今後関わっていくって方にはかなり参考になるお話です。
あ、でもこれってあくまで私自身が「支援」をする上で気をつけたい考えとか、心がけたいことなので。「支援」するとかではなく、普通に障害のある方と話をしたいとか、仲良くしたいという話であれば「気遣い過ぎずに、手助けは見極めて…」とかは考えなくて大丈夫だと思います。
—— 編集部 - そうなんですか??
正直、障害が「ある」とか「ない」とか考えないほうが結構上手くいくんじゃないかって
…ここ最近のことでそう思った瞬間があったんです。
スクエアでご利用メンバーさんや地域の方々も参加するようなイベントを開催した時の話で、参加していた小学生達とご利用メンバーさんがすごく会話を弾ませていたんですよね。
お互い本当に楽しそうにしてました。
ごちゃまぜイベントの様子
ごちゃまぜイベントにて熊本エリアのスクエアクルーの集合写真
—— 編集部 -聞く限りほほえましいというか、嬉しい光景ですね。
そうなんですよ。子どもならではの無邪気さというか、素直さというか…遠慮なく話しかけるその子たちの対応は、ご利用メンバーさんにとっては心地良いものだったんじゃないかなと。
そういう光景をみたからなのかもしれませんが…ありのままで接してみる。そこには正義があると私は思いました。
—— 編集部 - 長野さんのお話を聞いていると、「気持ちに偽らない」とか「ありのまま」とかいったワードが多々出てきてる感じがありますね。何かここに長野さんの軸みたいなのがあるのでしょうか?
確かに、でもそうですね。何も繕う必要がないことが良いものだって自分の経験で知ってるから、自然と出てきてるワードなのかもしれません。
心のリフレッシュ
—— 編集部 - 何も繕わない経験…というと?
自分の場合はバレエをしている時ですかね。4歳からずっと続けていて、今でも年に1〜2回は舞台に立っています。
日常生活でいろいろと悩んだり、感情を押し込んだりすることがあっても、舞台に立って踊っている時間は、自分が自分らしく堂々といられる瞬間なんです。
—— 編集部 - バレエ…!!舞台に立たれることで感情を発散しているってことでしょうか。舞台やステージって見てる側も気持ちが洗われたり、感情をリフレッシュできる感じがあって良いですよね!
そうですね!そういった相互関係はあると思います。自分の踊りを見ていただいた方に、日常から離れた時間を過ごしてもらいたい、余韻に浸るような気持ちになってもらいたい。「私の好き」を通して、その時間のきっかけをつくれたら嬉しいなと思います。
そういった想いもあり、
「芸術と音楽を通して癒しを感じ、心のリフレッシュができる人を増やす」
ことが私の夢になっています!
—— 編集部 - 長野さんの新たな夢、素敵ですね!
バレエに限らず、ダンスや運動、体を動かすことっていろんなエネルギーが発散されて、心を元気にするんです。それをみなさんに知ってもらえたらって思います。
バレエやインストラクターの経験を活かして、いろんな人を巻き込み、みんなの心を元気にできたらいいなと考えています。

長野 有華(ながの・ゆか)
SOCIALSQUARE水前寺店
スクエアクルー
障がい者スポーツ指導員/レクリエーションインストラクター/ピラティスインストラクター
1994年生まれ。福岡県豊前市出身。熊本県の大学で運動指導や健康とスポーツの関わりについて学ぶ。大学卒業後、スポーツクラブに就職し約6年勤務。キッズスイムのコーチを担当した際、障害のある子供たちと出会いこの子達が大人になっても今と変わらず笑顔で生きられる社会にしたい。その思いから地域との繋がりを大切にし諦めない社会を実現するソーシャルデザインワークスに魅力を感じ入職。
動物好きで休日は動物園めぐりを楽しんでいる。
幼少期からバレエをしており、熊本、福岡県で毎年1~2回舞台に出演。
趣味を通して多くの人に芸術と音楽に触れてもらい癒しと心のリフレッシュをしてもらうのが夢。