利用者様の声 Member's Voice|西宮店 Vol.6
Member’s Voiceは、ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉事業所(ソーシャルスクエア)を利用されて、就職をされた卒業生の声を紹介するコーナーです。スクエアでの活動や訓練を通して、学べたものや得られた気づ […]
Member's Voiceは、ソーシャルデザインワークスが運営する障害福祉事業所(ソーシャルスクエア)を利用されて、就職をされた卒業生の声を紹介するコーナーです。スクエアでの活動や訓練を通して、学べたものや得られた気づきを語っていただきました!
お名前|K.Mさん
年 齢|27歳
ご病気/障害のご状況|自閉症スペクトラム
就職先(仕事内容) |事務職(障害者雇用)
勤務状況(週・時間)|週5・フルタイム
継続状況|1年
※情報は取材当時のものです
自身の障害を受け入れるまで
—— 編集部 - Mさんの現在のご職業や働き方について教えてください。
障害者雇用で事務職をさせていただいています。働き方は一般の方と同様で週5のフルタイムで勤務ですね。
—— 編集部 - 一般の方と同じ働き方なんですね!一般での雇用と障害者雇用での違いというのはどういったところにあるのでしょうか?
自分の障害を開示をすることで、業務の振り分けや障害特性によって自分の不得意な部分への配慮があることでしょうか?
僕の場合、障害特性の内の一つに「大きな音に対して敏感」というものがあるんです。なので、業務中に人の声や環境音が気になった際は、作業環境を変えさせてもらうか、耳栓をさせていただく許可をもらっています。
他にも不得意な作業や対人での不安点など、いくつか勤め先に開示している特性はあるのですが、それぞれ合理的な配慮をいただいています。同僚の方々に自分の障害特性を事前に知っていただいた上で働かせてもらっているというのは、安心感がありますね。
—— 編集部 - なるほど…安心感。Mさんはどういうきっかけでご自身の障害について知ったのでしょうか?
大学在学中に就職活動をしてたんですけど、面接とかが全然ダメで…母と相談してたところ
「ちょっと病院に行ってみない?」
と提案してもらったのがきっかけです
なんとなく自分でも
「もしかすると自分には障害があるのかも」
って考えたことはあるんです。
だから、母からの提案を聞いたとき、ついにか…ってちょっと思ったのを覚えています。
—— 編集部 - なんとなくご自身に障害があると自覚してても、明確にしたくないという気持ちがあったんでしょうか?
そうかもしれません。障害に対して差別的な考えを持ってなかったにしても、自分が…となるとまたいろいろ考えてしまうこともたくさんあって。
診断を受けたその後は、福祉事業所で相談をさせてもらうようになり、状況だけは動いてはいたんですけど、自分の障害を受け入れるにはかなり時間がかかったと思います。
—— 編集部 - Mさんの支援を担当していたスクエアクルーから聞いた情報では、もとは別の福祉事業所に通所しており、そこからスクエアに異動したとのこと。スクエアに異動してきたのにはどういった理由があったのでしょうか?
当時の相談員の方とこれからについて話し合う中で、やっぱり「将来的には就職を目指したい」とは思っていたんです。だから、自分の障害を受け入れるため「自己理解を深めながら就職が目指せるような環境」に行きたいと思い、
それを叶えられそうなところがソーシャルスクエアだったんです。
自分のことを見つめ直す時間
—— 編集部 - スクエアに通われてからは主にどのようなことをされていたんですか?
はじめは、自立訓練サービスを利用して、自分が働くための基礎を作ってました。
その後、就労移行支援サービスに切り替えてからは、就職への準備として就職に役立つようなプログラムにも参加していくようになってましたね。サービス期限(自立訓練と就労移行支援のサービス期限はそれぞれ2年)をまるまる使ったのでスクエアには4年程お世話になりました。
この期間で自分はかなり密に自分と真剣に向き合うことができたと思います。
スクエアに通ったおかげで、自分の障害に対して受け入れることもできて、考え方もポジティブにできるようになりましたね。
—— 編集部 - ご自身の障害を受け入れるのにかなり時間がかかったと仰ってましたね。受け入れるためにした訓練などはあるのでしょうか?
心理学や感情のコントロールを学ぶプログラムに参加して、プログラム中に他のご利用メンバーさんと意見を交換したり、スクエアの支援クルーのみなさんには、個人面談などで自分の心の整理を手伝ってもらっていました。
人の考えに触れていくうちに「自分はこれでもいいんだ」と少しずつ自分のことを受け入れられるようになってましたね。
あとは…個人の作業で定期的に自分の考えを文章化することを心がけていました。
スクエアでの学びやクルーとの話、日々の生活の中で自分が感じていることや考えを文章にしてまとめてみると、
「自分ってこんな一面があったんだ」
「こういう思考の傾向があるのか」
と次々と自分について発見できることがあるんです。
スクエアに通うまで、自分のことを見つめ直す時間を設けたことなんて全然なかったんですけど、この文章化を続けていたことで自分について理解は深められたように思いますね。
—— 編集部 - 人の考えに触れ、自己分析をしていった結果、受け入れられるようになったんですね!すごい...。その他、スクエアに通っていた際に、印象に残っていることはありますか?
やっぱり、一番記憶に残っているのは就職活動ですかね。僕の場合、求人探しと面接にかなり難航していたので。
これまで自己理解を結構していたこともあって、やってみたいことや仕事にしてみたいことは自分の中では定まってきてはいたんです。でも自分が考えているような求人はなかなか見つからなくて…求人の募集なんてタイミングや巡り合わせだってわかっているものの「どうにかして自分が思うようなところを見つけたい」と焦燥感に駆られていました。
また、僕自身大学時代の就活が結構トラウマになってて…面接に対してもかなり苦手意識があったんです。スクエアでは月に何回か『面接練習』のプログラムが実施されているんです。でもなかなかうまく受け答えできないこともあり、それで落ち込むことも多々ありました。
精神的に参ってしまうこともあり、スクエアに行けない時ができたり、プログラムに参加せずお休みさせてもらうこともあったんですけどスクエアの支援クルーのみなさんが
「焦らなくていいですよ」
「自分のペースでやっていきましょう!」
とあたたかく声をかけてくれて、もう少しだけ頑張ってみようって思える勇気をもらえました。
就活中は、個人で面接練習や履歴書の添削とかに付き合っていただいたり、気になる企業の説明会があると一緒に同行してもらったりもして、手厚い支援をしていただいて本当にありがたかったですね。
今の職場に応募したのは利用期限が本当にギリギリでラストチャンスって時期だったんですけど、この時の面接はこれまでの自分の中で一番と言っていいほど上手くできたんです。
いつもは自分の受け答えに自信がなかったり不安だらけなんですけど、その時だけはすごくスラスラ自分が答えたい言葉が浮かんできてて。面接が終わった後は、トラウマで苦手だった面接を無事乗り越えられた嬉しさで涙が止まりませんでした。
あの面接ができたのは、これまでスクエアの支援クルーのみなさんがたくさん練習に付き合っていただいたおかげだと思っています。本当にスクエアには感謝の言葉しかないです。
自分にできることを
—— 編集部 - お仕事をされてから1年経過した感想を聞きたいです。
1年働いてみて、やっと環境や業務に慣れてきた段階だなって思います。
働き始めた当初は緊張とかもあったので体力の消費がすごくて…毎日バテバテでしたね。現在はなんとなく職場が忙しくなる時期とかがわかってきているので、自分なりに体力の調整とかできるようになってきてます。
この前スクエアの卒業生…もともとスクエアに通っていたご利用メンバーさんとお話しする機会があったんですけど「初出勤は精神的にも体力的にもすっごい疲れる」って話をみんなしていて…結構あるあるの話みたいです(笑)
—— 編集部 - スクエアでは、就職や働き先を見つけて卒業されたご利用メンバーさんがお話してくれるプログラムがあるようですね!Mさんもそれに参加されたんですか?
そうですね、参加してました。今現在働くことを目指しているスクエアのご利用メンバーさんに向けて、自分がしている仕事やこれまでについてプレゼンテ-ションさせていただきました。
プログラム後、集まってた卒業生の方々と今してる仕事について雑談して、さっきのあるある話はその時でてきた感じです。かつて一緒に就職を目指した仲間が集まってお話できるっていうのは結構嬉しいですね。
—— 編集部 - 今後仕事でしてみたいこと、目標みたいなものはありますか?
自分が役に立てることがあれば「ぜひ、自分が力になります!」ってスタンスで働いていけたらいいなと思っています。
今だとまだ自分の部署でしか関わりをもつことがないので、そこでしか業務をもらってないんです。だから、今後はもっと他の部署とも関係を広げて、もし他の部署でもなにか自分ができることがあればやってみたいなと。
働き始めて1年くらいの自分ができることなんて、そこまでないとは思うのですけど、みなさんにとって少しでも力になれることがあれば力の限り尽くしていけたらと思います。
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ソーシャルスクエアが大切にしているのは、その人の特性にあった支援を行うこと。そしてそれをより実践に近い環境で行うことです。障害と一口にいっても、1人ひとり直面している問題は異なりますし、得意不得意があります。それを無理矢理に強制するのではなく、本人の特性にあった支援を探る。そのことで少しずつ自信がつき、自分でできることが増えていく。それが自立に繫がるのだと思います。
このコーナーでは、今後も、就労を決めた方や支援にあたるクルーの生の声を紹介していきます。スクエアでのカリキュラムをイメージして頂いたり、ここで働くことをイメージして頂いたり、気軽にお読み下さい。スクエアに興味を持って頂いた方は、ぜひご連絡下さい。見学などの案内をさせて頂きます。
ソーシャルスクエア西宮店
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