いつまでも現役でいたい

1982年いわき市生まれ。接客業に従事する中で福祉に興味を持ち、29歳の時に社会福祉法人に入社。就労移行支援の支援員として勤務。またプライベートでは趣味のダンスを活かし、インストラクターを経験。2018年ソーシャルデザインワークスに入社し、2023年10月より上荒川店のサービス管理責任者になった根本加奈子に支援への想いについてインタビュー。

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根本 加奈子(ねもと・かなこ)

SOCIALSQUARE 上荒川店 サービス管理責任者
スクエアクルー/ダンスインストラクター

ソーシャルスクエアという地域に開かれた現場で障害福祉に関わるクルーは、どのような問題意識を持ち、どのような理想を掲げて支援を行っているのか。その声をインタビュー記事で紹介していく「Crew’s Voice」のコーナーです。

1982年いわき市生まれ。接客業に従事する中で福祉に興味を持ち、29歳の時に社会福祉法人に入社。就労移行支援の支援員として勤務。またプライベートでは趣味のダンスを活かし、インストラクターを経験。2018年ソーシャルデザインワークスに入社し、2023年10月より上荒川店のサービス管理責任者になった根本加奈子に支援への想いについてインタビュー。

※掲載内容は取材当時のものです

どんな人にも興味を持つ

—— 編集部:以前2020年にcruisevoiceのインタビューうけていただきましたが、その頃と今と比べて変化などはありますか?

一番の変化といえは自分自身がソーシャルスクエア上荒川店の※サービス管理責任者(以降”サビ管”と略)の役割を担うようになったことでしょうか。それ以外の変化はあまりなく、就労移行の支援は継続して携わっています。
※(障害福祉サービスを提供する事業所において、適切なサービスが提供できるように全体的な管理を行う職種

支援への想いに変化はないですね。サビ管になっておきながらいうのもあれですが、自分はいつまでも現役でいたいという気持ちが強くあるので、自分はできる限り現場で多くの人と関わって、ひとりひとりをしっかりサポートしていきたいという気持ちは以前のインタビューの時と変わりはありません。

—— 編集部:これまで福祉の仕事を続けてきて、印象に残っていることはありますか?

支援の仕事をしていて嬉しかったことや楽しかったことはたくさんありますが、やはり人間、苦い思い出のほうが印象に残りやすいんでしょうね。自分の力不足で、とある利用メンバーさんを特になんの変化も起こせず送り出してしまったことがずっと悔しくて記憶に残っています。

ご利用メンバーさんの中には親御さんとともに来られて
「自立してほしい」
「どうにか自分自身で働けるようになってほしい」
と親御さんのご意思からソーシャルスクエアをご利用されるメンバーさんもいらっしゃいます。そのため、ご利用メンバーさんご自身で「自立したい」というご意思がない方や、現状のご自身に問題を感じていない方もいらっしゃいます。
私はそういった方々に対して「視野を広げられるような支援」をするのも、仕事の一部だと思っています。

とあるご利用メンバーさんは、先の例のように「親に言われているから」といったご理由でソーシャルスクエアに通っていました。こちらもいくらかアプローチしたものの、その状態で2年の利用期間を使い切ってしまいました。親御さんの「自立してもらいたい」という強い思いもあり、更に1年の延長でこちらを利用していただきました。しかし、結局そのご利用メンバーさんはどこにも繋がることもできずにご卒業されたんです。

そうなってしまった結果が本当に悔しくて、悔し泣きしたことを未だに覚えています。

—— 編集部:どんなにアプローチしても、ご利用メンバーさんに響かないと悔しいですね。「視野を広げられるような支援」というお話がありましたが、実際どういったことをしていらっしゃるんでしょうか?

ご利用メンバーさんにはできる限り「経験の提供」をしていくようにしています。
引きこもり期間が長い方だと、自己選択の経験自体したことのない方もいらっしゃいます。失敗してもいいので、まず挑戦してもらうことに意味があると思います。

といっても、無闇に何でも挑戦していただいたわけでもなくて。失敗が続いてしまうと挑戦する勇気も持てなくなってしまうので、まずは無理のないステップから設定することが大切だと思います。成功7:失敗3とかの割合になると理想ですね。
そういった経験から判断する力を身につけていただくことで、ご利用メンバーさんの見える世界は徐々に広げていくことができると思います。

—— 編集部:ご利用メンバーさんとの関わり方で心がけていることはありますか?

どんな人にも興味を持つようにしています。ご利用メンバーさんに苦手意識を持たない様にして、ひとりひとりに寄り添うことを大切にしていますね。ご利用メンバーさんの中には、人に対して威圧的な態度をとってしまう方や壁をつくってしまう方がいらっしゃいます。威圧的な態度をとることや壁をつくっているのにはちゃんと理由があるはずなんです。

 

そういった背景などについて時間をかけて丁寧に話を聞いていくと、ご利用メンバーさんも心を開いてくれて信頼してくれる様になります。信頼関係ができることで些細な悩みや本音を打ち明けてくれる様になり、
「本当はこうなりたい」
「こんな生活がしたい」
など夢や目標を話してくれたりするんです。

スクエアの強みはこの個人個人の夢に対する向き合い方にあると思ってますね。ソーシャルデザインワークスの理念にもありますが、

【私たちの理念】

その地域にとって大事なことをその地域の人たちと共創し

諦めない一歩を踏み出し続ける

「諦めない」ことが重要で、その夢に向かってどうすれば実現できるかを一緒に考えながら、時には併走し、時には背中を押しながら、一緒に目標達成に向け支援を行っています。
その想いは個別支援計画にもしっかり表れているのではないかなと思います。

サービス管理者としての理想像

—— 編集部:現役でいたいという気持ちがあった中で、サビ管になったきっかけはなんですか。また、どのようなサビ管になりたいと思いますか?

福祉の仕事をしていてサビ管になるということは、自分自身の中で1つの目標だったんです。サビ管は支援の柱で、その事業所の支援を左右するポジションなので、支援の仕事をしている身として、責任のある仕事の経験を積んでおきたいと思ったんです。

サビ管になって、どうしたいとか、なにをしたいなど具体的な支援を話すことは難しいんですが、自分の中でサビ管の理想像みたいなのがあって…
それがソーシャルスクエア理事の今泉さんです。

以前、私が別の法人で支援員をしていた頃のことなんですが、今泉さんも私と同じ法人で働かれていたんです。今泉さんはそこでサビ管をしていました。
今泉さんのすごいところって、絶対に本人も多忙だろうに他人にその多忙さをみせないところなんですよね。むしろ自分からクルー達に声をかけていっていて余裕を感じるというか…。ほら、人って忙しそうな人に対して声かけづらいじゃないですか。でも、今泉さんはそういった様子もみせないし、しかも支援の知識も豊富。説得力のある答えをいただけるのでクルー達にとって相談相手として最適で。上下関係を感じさせないし、絶対に「ダメ」って言わないし、常にアグレッシブで人との関わりも多く…今泉さんのすごいところ挙げていっているとキリがなくなってきた(笑)

いまの私は、福祉についての制度や社会資源についての知識も全然で、勉強不足なところも多くあるし、クルー育成として支援のケースとかをクルーに伝えたりなどもできていないのでこのあたりは自分の課題だなと思っています。

今もですが、前の法人の頃からすごい方だったんです。今泉さんはずっと自分の目標ですね。

当たり前を当たり前に

—— 編集部:ソーシャルスクエアは「すべての仲間の幸せを追求すると共に諦めのない社会を創る」といった理念を掲げていることから、最近のクルーのインタビューでは、皆さんの「幸せ」についておききしてるのですが、根本さんにとって幸せってなんでしょうか?

当たり前のことを当たり前に思えている…ということですかね?

今こうやって喋っていることとか、コーヒーを飲んでたりとか…仕事をしているだとか。こういう当たり前のことを幸せだと気づいていけること「幸せは、気づくもの」って誰かが言っててそうだよなぁって思ったんです。

—— 編集部:この質問、いつも唐突にするのでクルーの皆さん結構時間をかけて答える方が多かったんですが、即答でしたね。

そうなんですか?気になることとか頭の中で自分で考えて答え出すのが好きだからでしょうか。あと、自分の子どもに対して
「いつもごはんがあることが、当たり前だと思うなよ(怒)」
って当たり前のように感じられる幸せについて、ついこの前話題にでていたからかもしれませんね。

育児をしていると驚くことは結構あって…「男なのに」とか「女なんだから」って小学校低学年とかでも既に固定概念が芽生えているんです。

ここ最近では「多様性」って言葉がよく使われていくようになってきましたが、本当の意味で、色んな人が当たり前の世の中であってほしいなと思います。
「私はそういうの受け入れるよ」という人は増えてきているとは思うんです。でも、もし自分が障がいのある側になった時、あるいはそういった方に関わることになった時に、受け入れられないという人は今の社会ではまだまだ多いんじゃないかなって感じます。

他の人には多様性を認めるよって言うけれど、自分だったり家族がそっち側になった途端、それを否定して優しくできない人が結構多いように思います。
それって言っちゃえば本当に認めてることにはならないんじゃないかって。

ありのままを受け入れられるんだったら、自分に対しても優しくなれるはずなんです。
自分にも優しくできて、人にも優しくできる
そんな当たり前を当たり前といえる世の中になるといいなって思いますね。

 

PROFILE
根本加奈子
根本加奈子

根本 加奈子(ねもと・かなこ)
SOCIALSQUARE 上荒川店 サービス管理責任者
スクエアクルー/ダンスインストラクター

1982年いわき市生まれ。接客業に従事する中で福祉に興味を持ち、29歳の時に社会福祉法人に入社。就労移行支援の支援員として勤務。またプライベートでは趣味のダンスを活かし、インストラクターを経験。
活動の幅を広げたいとの想いから、2018年2月よりソーシャルデザインワークスに入社。

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